今回ご紹介するきのこを撮影した場所は、
阿寒湖の南部に広がる針広混交林。
前田一歩園財団所有の私有地なので、
一般の人は立ち入ることができません。
ぼくも、ここを訪れるのはまだ3回目です。
今回は、とあるお仕事の下見を兼ねて、
特別な許可をいただいて入林しました。
北海道の沢や川などの生水は、
どれほど透明できれいに見えても、
エキノコックス感染症にかかる危険があるので、
(エキノコックスの卵を口に入れる可能性がある)
煮沸して飲むことが奨励されています。
エキノコックス感染症は5〜10年の潜伏期間を経て、
重篤な肝臓疾患を引き起こしますが、
病院にかかって治療したとしても、未だ完治薬はなく、
現状を維持することしかできないようです。
ただし、実際に、
エキノコックス感染症を発症する可能性は、
実はけっこう低く、北海道では年間10〜25人ほど。
でもまあ、細心の注意が必要です。
ちなみに、きのこの写真の背景に、
清流が写っていますが、この水は、直接飲めます。
なぜならば、この場所から湧き出しているから。
おいしいんだ、この水が!
こういう風光明媚な場所を見つけると、
きのこが生きている美しい風景を撮りたいので、
ついついきのこを探してしまいます。
湧水口の脇の倒木に、きのこ発見!
タヌキノチャブクロです。
タヌキノチャブクロは、秋に、
広葉樹林の朽木から発生します。
洋梨を逆さにしたような形で、高さ2.5〜5cm。
まん丸に見えることも多々あります。
幼時は淡褐色で、内部は真っ白なスポンジ状。
熟すと黄褐色を帯び、内部は褐色粉状の胞子に変化。
頭頂部に穴が開き、外部からの刺激で、
ぶわ〜っと胞子を放出します。
食。
ただし、食用になるのは内部が真っ白の幼菌のみ。
汁物によく合います。
ホコリタケとそっくりですが、
ホコリタケは地面から発生すること、
頭部にとげとげの突起が見られることで、
区別することができます。
それにしても、
阿寒湖周辺の森の奥深いこと。
もっともっといろいろな場所へ行けたらいいなあ、
と、強く思います。