きのこファンにとってのきのこは、
趣味なんてものの領域を遥かに凌駕した、
人生の拠り所なんですよ、多分。
もう、きのこなしには生きていけない、
という人が、ぼくの周囲にはたくさんいます。
あの人に、あの人にと、顔が浮かびます……(笑)。
ぼくは、もちろん、きのこが好きなんですけど、
それと同じくらい森が好きなんですよね。
ですから、街できのこを見つけても、
思いっ切り写真を撮るぞ、という感じではなく、
ストリートスナップ的な感じで(本気は本気ですが)、
今や絶滅危惧種のコンパクトデジタルカメラ、
RICOH GR3 なんぞをポケットから取り出し、
ピピ、カシュ、ピピ、カシュと撮影します。
これが、深い森の奥できのこを見つけたら、
四つん這いになって、地面すれすれに顔を近づけて、
ぐるぐるぐるときのこの周りをまわって、
ここだ!というアングルに三脚を構え、
カメラをセットして、液晶で構図と露出を確認して、
と、なかなかシャッターを切るまでに至りません。
お店で買ってきたきのこを、
白バックで撮影したことが何回かありますけど、
まあ、あんまり面白くないんですよねえ……。
やはり野に置け蓮華草、ってやつですな。
と、そんなことを、
スーパーマーケットで買物の途中、
きのこ売場のマイタケを見るともなく眺めながら、
つらつらと考えたわけです。
マイタケは、秋に、
ブナ科の大木の根元から発生します。
扇形〜へら形で、幅2〜5cmの傘が、
多数重なり合い、押し合って集団状となり、
径30cmもの大きな株になります。
内部は根元の太い柄から幾回も枝を分け、
小枝の先端に小形の傘をつけています。
これが、いわゆる、マイタケ形です。
傘の表面は、鼠色〜黒褐色、
裏面は管孔になっていて、白色です。
超優秀な食菌。
特に野生のものは、
株は大きく、香りも味も歯切れも抜群によく、
栽培品とはまったく比べ物になりません。
見つけたら舞ってしまうという語源しかり、です。
ちなみに、ぼくは、
群馬県は渋川市、水沢うどん某店の天ぷらが、
我が人生の中のベストデリシャスマイタケです。
最近の栽培きのこは、
ナメコにしても、エノキタケにしても、
いかにも栽培物という形状だったものが、
天然物に近くなっているものも売っていて、
ちょっぴり嬉しい今日この頃です。