糸井 |
さっき、本人の口からも
「コノヤロー」っていう言葉が出たけど、
だいたい、たけしさんの発言っていうのは、
最後に「コノヤロー」が
ついてると思うんですよ。 |
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たけし |
ハハハハ。 |
糸井 |
みんな、たけしさんのモノマネっていうと、
「コノヤロー」ってつけるでしょ。
「ダンカン、コノヤロー」って。
ダンカンとコノヤローは
そもそもは関係ないじゃないですか。 |
たけし |
ハハハハハ、あれ、なんで、
「ダンカン、コノヤロー」
になったんだろうね。 |
糸井 |
やっぱり「コノヤロー」なんでしょ。
「ダンカン、コノヤロー」だし、
「カメラ、コノヤロー」だし、
「コップ、コノヤロー」なんでしょ。 |
たけし |
ウン。そーだねェ。 |
糸井 |
つまり、たけしさんの世界感が
「コノヤロー」なんだって思うんですよ。
たとえば、下町にいるオヤジの世界観って、
「コノヤロー」でできてますよね。 |
たけし |
ウン。「なんだ、コノヤロー」ってね。
会っていきなり「なんだ、コノヤロー」。
言われたほうも「いいか、コノヤロー」。
なにがなんだかわかんない(笑)。 |
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糸井 |
うん(笑)。 |
たけし |
なんだかな、「コノヤロー」ってね。
「元気か、コノヤロー」とか言ってね。
「飲むか、コノヤロー」だって。
なんだろーな、アレ。 |
糸井 |
で、そういうたけしさんが、映画という
「誰かに観てもらいたいもの」を
つくるっていうのは、
「コノヤロー」って言われるのが
わかってるんだけど、
そのうえで「なんだ、コノヤロー」って
言いながら、つくってるわけじゃない?
そりゃ、複雑化するのは目に見えてるよね。 |
たけし |
ハハハハハ。 |
糸井 |
で、「コノヤロー」ってのは、
治んないもんでしょ、きっと。 |
たけし |
治んないですよ、ウン。 |
糸井 |
つまり、ずっと自分で、
「たけし、コノヤロー」
って思ってるわけでしょ? |
たけし |
ウン。
「しょーがねーな、コノヤロー」っていう。
かっこ悪いよね、アレ。
酒飲んで、こんなんなって、風呂入って、
「しょーがねーなー、オレはよぅ」って。
鏡見て「なんだよ、おめーは」って。
でも、アレ、なんていうんだろ、
かっこ悪いんだけど、
快感だったりなんかもするな。 |
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糸井 |
ああ、そうですか。 |
たけし |
なんだかなァ(笑)。 |
糸井 |
だから、たけしさんって、
目玉の位置が、あっち側にあるんですよね。
つまり、客観性でしょう、
「コノヤロー」っていうのは。 |
たけし |
ああ、ウン。 |
糸井 |
ほかにいますか、そういう人は? |
たけし |
ウーン、どうだろうねェ。
「コノヤロー」ねェ。 |
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糸井 |
(笑) |
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(つづくぞ、コノヤロー) |