北小岩 |
「先生、このまま日本は
沈没してしまうのでしょうか」 |
小林 |
「まあ、そんなことはないと思うが、
ここらでひとつ進むべき道を
明確にしておいた方がええやろうな。
資源の乏しい日本が貿易立国として
経済大国たらんとするのは宿命やが、
今後はそれだけではあかんからな」 |
北小岩 |
「と申しますと?」 |
小林 |
「例えばブラジル人ならば、
全国民が華麗にサンバを踊れる。
イタリア男ならば、
全員があいさつするように女性を口説ける。
そんなイメージがあるわな」 |
北小岩 |
「限りなくおおざっぱに言えばそうですね」 |
小林 |
「とにかく陽性やろ。
それに引き換え、
日本人はシャイで面白みがないように
思われとる。
まず、国をあげてそこを変えていきたい」 |
北小岩 |
「確かにそうですね。
日本人は印象が薄いです。
それに何か起こると
日本全体がすぐに
重たい空気に覆われてしまいます。
どうすればよいのでしょうか?」 |
小林 |
「うむ。それを突破するためには、
経済大国を目指しとったらあかん。
これからの日本が向かうべき方向は
『マジック大国』や!」 |
北小岩 |
「なんと!」 |
小林 |
「つまり、日本の全国民が
マジックできるようにするんや。
そして、日本に来た外人には
事あるごとにマジックをかまし、
また外国に行ったら
あらゆる場面で披露するんやな。
それを10年も続けてみい。
外人はこう考えるで。
日本人はいつでも必ず
マジックで楽しませてくれる、
とっても陽気で愛すべき国民なんだとな」 |
北小岩 |
「いいですね!
歓迎すべき国民性です!
『マジック大国日本』。
楽しそうな響きを持っています。
そうと決まれば、私もマジックを
修得したくなってまいりました!」 |
小林 |
「そうやろ。
俺の知り合いに
二人の違うタイプのマジシャンがいる。
彼らのもとで、我々が先陣を切って
マスターしようやないか!」
先生の知り合いというのは、
マジックのプロである『水性マジック師匠』と
『油性マジック師匠』である。
水性マジック師匠は、淡くほのぼのした芸風。
油性マジック師匠は、記憶にこびりついて
忘れたくても忘れられない芸風という。
さっそく二人は師匠のもとを訪れた。 |
北小岩 |
「こんにちは、水性マジック師匠。
師匠は、海外ではどのような場面で
マジックをなさるのですか?」 |
水性
マジック |
「まず入国審査でパスポートを出すふりをして
ハトを出しますね。
税関では『タバコをたくさん持っているので
申告しま〜す』といいながら、
タバコ10カートンに布を被せ一気に消します。
別室に連れて行かれることもありますが、
歓迎されることも多いです」 |
|
小林 |
「そうや。
以前一緒にイギリスに行った時、
水性マジックはんは
銀行でスモールチェンジし、
出てきたコインを人差し指から小指まで
行ったり来たりさせて大喝采浴びとったな。
帰国する時も、ホテルで別れを惜しんで
涙をぬぐうふりをして
次から次にド派手なハンカチやパンティを出し、
大笑わせこかせとったわ」 |
北小岩 |
「なるほど。実はわたくし、
いつの日か難民キャンプの子供たちに
手品を教えたり、
親の仕事で日本にやって来た子供たちと
マジックで交流を深めたりしたいと
思っておりました。
水性マジック師匠の芸は、まさに
わたくしの求めていたものであります。
ぜひ、弟子入りさせてください!」 |
小林 |
「それはええ。
俺は油性マジック師匠に
弟子入りしようと思っていたから
ちょうどぴったしや」 |
北小岩 |
「油性マジック師匠はどのようなマジックを?」 |
小林 |
「外国の街角で
『俺にはちんちんが二本ある』と言って
女をナンパし、シャワールームで
ウソつきといわれた瞬間にタオルで前を隠し、
とるとあら不思議。
ちんちんが二本になっとるという寸歩や。
精巧な張り型を
あらかじめおしりの割れ目に隠しておき、
手際よく本物の横にくっつけて
ちんちんが二本あるように見せるんや」 |
北小岩 |
「・・・・」 |
小林 |
「もっと大技も持っとるで。
美女が尺八を吹いとるやろ、
その美女にシーツをかけて、
とるとあら不思議。
いつの間にか美女は師匠のモノを・・・」 |
|
北小岩 |
「・・・・」 |