小林秀雄のあはれといふこと |
しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。 小林先生を起こすために寝室のふすまを開けた 弟子の北小岩くんが、思わず声をあげた。 「1、2、3、4・・・。 先生は布団を7枚もかけて重くないのですか!!」 「ああ、北小岩か。もちろん重いわな。 だがな、俺はとてつもない寒がりやから、 冬はこれくらいかけんと安心できんのや。 たまに布団の重みで首がしまって起きることもある」 「安眠を犠牲にしてまで、 冬の備えを優先しているのですね」 「そやな。だが俺などまだまだ甘い。 動物や昆虫の冬支度はもっとドラマチックやで。 久しぶりに山に観察に行ってみよか」 二人は鈍行電車に揺られ、長野のとある山を訪れた。 小林先生の古くからの友人、 冬金玉男(ふゆきんたまお)氏が案内してくれた。
自分の命を張ってまでこどもを守る親うんこたち。 その途方もない家族愛に心を動かされた小林先生の瞳から 涙がこぼれた。 隣りで北小岩くんも嗚咽している。 冬の自然は限りなく厳しい。 生命を絶たれる生き物も多い。 来春、再び生を謳歌するために、 生き物たちの冬支度は妥協を許されない。 そこでは人知を超えた 数々の大河ドラマが繰り広げられているのです。 |
2002-11-24-SUN
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