小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の七拾伍・・・イタコ

「うう、うううう・・・」
「どうした、北小岩!」
コタツでうたた寝している北小岩くんがうなされている。
心配した小林先生が駆け寄り揺り起こした。
「うう・・・。あっ、先生!ふぅ〜〜」
「どうやら悪夢に襲われたようやな」
「いえ、そうではないんです。
 十年前に亡くなった祖父が、
 夢枕に立って私に何かを伝えようとしていたのですが、
 よく聞きとれなかったのです」
「それはあかんなあ。
 とても重要な話かもしれん。
 ここはひとつ、イタコに口寄せしてもらう以外に
 ないやろな」

小林先生と弟子の北小岩くんは、
祖父が訴えようとした謎を解くために
雪の下北半島を訪れた。

小林 「さすがにしばれるわなあ。
 さて、恐山はどっちなんや」
北小岩 「ここに道しるべがあります。
 左が恐山、右がお色気山です。
 あっ、恐山は11月から4月は
 閉山と書かれております!」
小林 「しゃあないなあ。
 でもせっかくここまできたんやし、
 お色気山というのも何か感じるものがある。
 そちらに向かおうやないか」
雪に足を取られながら山道を登っていくと、
お色気院の山門に到着した。
入り口はだ円をタテにした形で、
まわりには長い毛がはやしてあった。

小林 「変わった門やな。
 よ〜く使い込んだようなドドメ色をしとるわ」
北小岩 「何だかわたくし、
 ちょっぴり興奮してまいりました」
その時だった。
中から袈裟をかけたお坊さんが現れた。
股間には巨大なペニスケースをつけている。
ペニス
ケース坊主
(以下、ペ二坊)
「ようこそおいでくださいました。
 んっ、これですか。
 冬はこのようにあんか付きの
 ペニスケースをしていないと、
 凍傷になる危険がありましてな」
北小岩 「大変ですね。
 ところでこちらに
 イタコさんはおいでになりますか?
 実はわたくしの亡き祖父が夢枕に現れ、
 何かをしゃべりかけるのですが、
 わからなかったのです」
ペニ坊 「なるほど。
 今ちょうど我が院自慢のイタコが
 スタンバイしております。
 さあ、こちらへどうぞ」
渡りに船と思い、二人はお坊さんの後をついていった。
そこには薄い装束を身にまとった艶っぽいイタコが
女座りしていた。
ミニの着物なので下着が見えそうだ。
北小岩 「はじめまして。実はわたくしの祖父が・・」
艶っぽい
イタコ
「わかっております。
 おじいさんの霊はすぐそこまで来ていますよ。
 あああ・・・」
イタコは突然腰をくねらすと、
カラダ全体でゆっくりピストン運動を始めた。
北小岩 「どうしたのですか?」
ペニ坊 「このイタコは亡くなられた方の
 おちんちんの霊を呼ぶことができるのです」
北小岩 「なんと!」
艶っぽい
イタコ
「ああ、いい・・・・・」
イタコの動きが激しくなる。
三浅一深のリズムで力強く上下動を続ける。
3分ほど続いただろうか。
突然カラダをびくびくっと震わせると
その場に倒れてしまった。
艶っぽい
イタコ
「これで999人目。
 だがな、孫よ。
 俺は千人斬りを目指していたのに、
 あと1人というところで
 自分自身が昇天してしまったんだ。
 だから、お前が体験した女を
 1人分、俺がやったことにしてくれないかね。
 そうすれば目標を達成したことになり、
 安らかに成仏できるのだか・・・」
北小岩 「おじいさまが性豪であられたことは
 存じております。
 999人で他界され、
 さぞや無念だったことでしょう。
 わかりました。
 実はわたくしは素人さんとは
 1人しか体験したことがございません。
 でも、その1人とは
 おじいさまのおちんちんが
 行ったことにしてください。
 わたくしは童貞に戻ってしまいますが、
 それでもかまいません!」
艶っぽい
イタコ
「孫よ、よく言ってくれた。
 これで俺もめでたく千人斬りだ!」
言うが早いかイタコは
カラダを再び激しく動かしだした。
艶っぽい
イタコ
「ああ、ああ、あああ〜〜〜〜。
 もう思い残すことはない。
 いざ、成仏〜〜〜!」
事の成り行きを傍らでじっと見守っていた小林先生が、
目に涙を浮かべながら口を開いた。
小林 「北小岩・・・。
 彼女とのいとなみを除けば、
 後は玄人さんとの思い出しか残らないお前。
 それなのに、
 再度素人童貞と蔑まれる
 屈辱に甘んじようとも
 祖父のちんちんをたてるとは。
 いつの間にか一人前になっていたのだな・・・」


おじいさんのおちんちんの霊は
無事あの世に旅立って行った。
その場に立ち尽くす小林先生と北小岩くんの頬を、
いつまでも涙がつたわり落ちた。
だが、もしこの光景を仏様がご覧になっていたとしても、
単にアホらしいと嘆かれるだけのことであろう。

2002-12-15-SUN

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