小林 |
「・・・。君も、その、ナニかいな」 |
若者A |
「はいそうなんです。
申し訳ありませんが、見てください」 |
若者は頬を赤らめ、ズボンとパンツを同時に下ろした。
「先生、おちんちんの部分に急須がついております!
おまけにその急須から、
熱いお茶を出しました!!
いったいこれは
どういうことなんでしょう!!!」
驚きのあまり、
弟子の北小岩くんが素っ頓狂な声をあげた。 |
小林 |
「いやな、ここ20年近く
神様が忘れっぽくなってしまったようなんや」 |
北小岩 |
「と申しますと?」 |
小林 |
「この世の中でちんちんの作り方・・・。
つまり、ちんちんのレシピをご存知なのは、
神様1人だけや。
ところが神様がその重要なレシピを
ど忘れすることが多くなってな。
それでこのように
珍妙なちんちんを持った若者が
増えてしまってるんや」 |
北小岩 |
「コカ・コーラのレシピを知っているのは
世界で数人だけで、
それは金庫の中に
厳重に保管されているという話を
聞いたことがあります。
確かにおちんちんを作れるのは
神様だけでしょう。
その神様1人の頭の中だけにしかない
レシピを忘れてしまわれるとあらば、
これからの男の存亡にかかわってきます」 |
小林 |
「その通りや。
この若者は普通のちんちんではなく、
股間に急須がついてしまった。
ヘソで茶を沸かすという言い回しがあるが、
彼は望んでもいないのに
サオで茶を沸かす男になってしまったんやな」 |
若者A |
「笑いは取れますが、
女性とうまく関係することができないのです。
無理に関係しても、
フィニッシュで女性の大切な所に
お茶を注いでしまうことになるでしょう」 |
小林 |
「神様も罪なお方やな。
彼だけやないで。
午前中に来た若者は、
急所に遮断機がついておった。
もし彼女ができても、
コトに及ぼうとしたとたん
遮断機が下りてしまい
それ以上先には進めないんや」 |
「ドンドン、ドンドン」
玄関の戸をたたく音がした。
先生と北小岩くんが駆けつけると、
目に涙を浮かべた若者が立っていた。 |
小林 |
「どうせまた、ちんぽのことやろ。
しゃあない、見せてみい」 |
北小岩くんが目を見張った。
若者の股間には、なんとドアノブがついていたのだ。
|
若者B |
「ノブを回すと、
この部分を開けることができます。
女性と交わることはできませんが、
中に金庫のようなものがついているので
結構重宝しています」 |
小林 |
「まあ、普通のちんちんを
行使するばかりが人生やない。
実用的でええやないか」 |
若者B |
「僕には彼女がいますが、
プラトニックラブです。
ここを開けていいのは
この世で彼女だけと決めました。
彼女がこの扉を開けてくれる日のために、
中に彼女との思い出の品を
しまっておいたのです」 |
小林 |
「好きでもない女とヤリまくっているバカどもより、
何万倍もロマンチックやないか」 |
若者B |
「でも、二人だけの大切な思い出が
盗まれてしまったのです。
そうこうするうち、
彼女にもフラれてしまいました」 |
北小岩 |
「鍵をかけ忘れたのですか?」 |
若者B |
「いえ。
神様が手を抜いて
安物の錠をつけてしまったせいで、
寝ている間に
ピッキング強盗にやられてしまったのです」 |
北小岩 |
「ああ、神様・・・。
せめてシリンダー錠をつけてくだされば、
この方が二重の苦しみを味わわずに
済んだのに・・・。
ところで先生は
こんなに深い悲しみに包まれた若者たちに、
何をしてさしあげるのですか?」 |