小林 |
「あれはイチモツデカやな」 |
北小岩 |
「イチモツデカさん?」 |
小林 |
「彼は股間のモノが異様にデカいため、
みんなから『イチモツ刑事(デカ)』と
呼ばれとるんや」 |
北小岩 |
「凛々しいニックネームですね。
先生は随分刑事さんに
知り合いが多いようですが、
何か警察にツテでもあるのですか?」 |
小林 |
「ああ、実はな」 |
小林先生は有事の際に
懇意にしている刑事がいた方がよいと考え、
自分で買ったエロ本を道で拾ったといっては
警察に届けている。
先生はエロ本の目利きであるため、
最特上のブツが毎週届くことになる。
もちろん落とし主は現れないので、
届け出の翌日から6ヶ月14日後には
無事に先生のもとに戻ってくるのだ。
その間、刑事たちはハイレベルのエロをマン喫できるので、
左曲がり署刑事ととても仲がよいのである。 |
小林 |
「俺の友だちの刑事は凄腕ばかりやで。
あそこで大人のおもちゃの通販カタログを
凝視しているのがペッサリー刑事や。
命を狙われているVIPがおるやろ。
スナイパーが構えたら、
VIPにすばやく
特殊プラスチック製のドームを被せて
守るんや。
地面との隙間には
防弾ゼリーを塗って固定させるので、
どんなマシンガンで狙われても大丈夫。
それで彼は何人もの命を救ってきた」 |
|
北小岩 |
「大技の使い手ですね。
ところでわたくし、幼少の頃より
『太陽にほえろ』のジーパン刑事に
憧れてまいりました。
あのようにクールでいかした刑事は
いらっしゃらないのですか」 |
小林 |
「それならヤツやな。
ヤツは見かけも愛称も
ジーパン刑事に酷似している。
夏でもデニムのコートでキメている。
逮捕の現場で犯人が向かってくるやろ。
銃をくるくる回しながら
コートをがばっと開くんや。
すると下半身はすっぽんぽん。
つまりノーパンや。
犯人はあきれて棒立ちとなる。
そこを捕まえるんやな。
ヤツは親しみを込めて
ノーパン刑事と呼ばれとるんや」 |
北小岩 |
「・・・」 |
向こうで知り合いのふぐり刑事が手招きをした。
取調室の前である。
先生と北小岩くんが近づくと中から声がもれてきた。 |
親子丼刑事 |
「なあ、この写真を見てみな。
母娘の写真だが
なかなかいいくびれしてるだろ。
俺はこの母娘ともども
味わったことがあるんだぜ。
まあ、いうなれば親子丼だな。
カツ丼よりもずっといい味だ。
正直に話したら、
この母娘を紹介しなくもないぜ」 |
よく刑事ドラマで被疑者にカツ丼をごちそうして
自白に持っていくが、
この署ではカツ丼ではなく
親子丼で自白させようというのだ。 |
小林 |
「なるほどな。ええ社会勉強になるな」 |
北小岩 |
「はい」 |
小林 |
「それじゃあ、そろそろ帰ろうか」 |
署を出てしばらく歩き信号待ちしていると、
先生の横をどどめ色のクルマが通り過ぎた。
助手席で誰かが手を振っている。 |
小林 |
「ほう、覆面パトカーやな。
あれはバイブレーター刑事やないか。
どうやら前の女を尾行しとるようや」 |
その時だった。
女は猛ダッシュをかけると角を左に曲がった。
バイブレーター刑事はすかさずサイレンを出し、
ルーフの上に装着した。
サイレンは1メートル以上あるおちんちんの形をしている。
サイレン音が鳴り出すと、歩行者の動きが止まった。
悩ましい女のよがり声で
「イ〜ク〜イ〜ク〜」と大音響を轟かせ、
ちんちん型サイレンは
バイブレーターのようにいやらしくくねりだした。
50メートル走ったところで、
女は顔を上気させ逃走を断念した。
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小林 |
「さすがバイブレーターはんや。
犯人は恥ずかしさに耐え切れず
逃走心を失ったんや。
あんなもんに一生追いかけられるぐらいなら、
捕まったほうがまだましやからな」 |