小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の八拾伍・・・春闘


小林 「今年も春闘は厳しいようやな」
北小岩 「日本経団連は、
 昨年12月の
 『経営労働政策委員会報告第5章1
 今次労使交渉に臨む経営側の基本姿勢』の中で、
 ベースアップは論外であり、
 賃上げ要求を掲げての春闘は
 大勢において終焉した、と述べております」
小林 「そやから、これから春闘に臨む
 あの方たちのことがとても気になるんや。
 どや、彼らの闘いを応援しに行ってみよか」
小林先生と弟子の北小岩くんは、
ある労働組合の本部を訪ねた。
入口わきにAV本番労働組合と貼り紙があった。
長引くデフレの影響で軒並み苦戦をしいられた
今年の春闘だったが、
AV本番業界は電機、自動車、鉄鋼、造船重機など
主要業界の回答を前戯と位置づけ、
自分たちが絶頂を迎えられるよう
最後に交渉が行なわれるのである。
小林 「ごぶさたしています。
 北小岩、こちらが本番労組の
 委員長・雁高男(かりたかお)さんや」
北小岩 「始めまして。
 お噂はかねがねうかがっております。
 ところで先ごろの春闘は
 賃金構造維持が
 精一杯の業種が多いようでしたが、
 雁さんの業界はいかがですか?」
「苦しいですね。
 経営者側の言い分としては、
 不況の影響でオナニーを控える男が急増し、
 そのためAVの利益率が
 著しく低下しているということです。
 なあ、大満さん」
隣に座っていた巨乳の女性がうなずいた。
大満濡代(おおまんぬれよ)さんは、
本番労組の副委員長を務めている。
雁氏と大満さんは、
現役のカリスマAV男優、AV女優でもある。
「私たちの闘争に
 これからのAV男優とAV女優の生活が
 かかっています。
 最低でもAV男優はチン上げ、
 AV女優はマン額回答を目指します。
 男優はチンチンという
 とてつもなくデリケートなものを
 商売道具にしているため、
 実力給よりも
 チンこう序列型賃金体系に持っていき
 生活の安定を図りたいと思っています。
 また、機能を失った時の
 退職チン制度確立も訴えていきます」
大満 「でも、経営者は私たちにとても冷たいんですよ。
 国からも政治家からも冷遇されています。
 雁さんたちのおちんちんは
 休む間もなく働き続け、
 私たちのマン所(まんどころ)も
 乾く暇もないほど
 酷使されているにもかかわらずです。
 エロは日本最大の
 エンターテインメントであるというのに。
 今は労働争議にとどめていますが、
 このままの状態が続くなら
 AV男優、AV女優、
 人気風俗嬢(フードル)など
 あらゆるエロ産業を巻き込んでの
 独立国家設立も視野に入れています」
小林 「なるほどな。
 エロといえば、
 性に飢えたる者たちにとっては
 原油以上の資源や。
 もしもAVや風俗関係の方々が独立して
 国を起こし高額で
 日本とエロを取り引きすれば、
 日本のエロ市場に狂乱物価を誘発し
 国内経済に悪影響を及ぼす。
 それを招いた政治家たちにも
 巨大な圧力がかかるやろな。
 エロを愛する有権者たちの票を
 無視することはできんからな」
北小岩 「そうですね。
 みなさま、わたくしも
 心からエールをおくります。
 がんばってください!」
雁氏と大満さんは経営者たちとの最後の話し合いに臨んだ。
だが、経営者は要求を拒否。
雁氏と大満さんは組合員と共にゼネストに突入した。
男優はペニスケースを、女優は貞操帯をつけて
以後の撮影を敢行したのだ。
特に雁氏と大満さんのからみは凄まじかった。
ストを止めさせようと撮影現場に乗り込んだ経営者たちは
瞠目した。



雁氏は先が真剣になっているペニスケースを装着し、
大満さんは兜でできた貞操帯を締めていた。
雁氏の腰が動くたびに真剣がきらめき、
その一刀を股間の貞操帯兜が受け止め火花が散った。
鬼気迫る行動に経営者たちはその場にへたり込み、
要求をのむこととなった。
撮影現場から出てきた雁氏は
真剣のペニスケースを空に放り投げ、
チンチンを高々と上げた。
小林 「おお!
 AV男優はチン上げを勝ちとったんや!」

続いて姿を現した大満さんは
兜の貞操帯を下ろしご開帳した。
北小岩 「AV女優さんもマン額回答を得たようです!」


各撮影現場から援軍に駆けつけた組合員たちは、
いっせいにペニスケースと貞操帯をはずして交わりあった。
大満さんは感極まり、
上の目からも下の目からも涙を流している。
この壮麗な出来事を、
小林先生と北小岩くんも
下半身にテントを張って祝福した。

おめでとう、AV男優&AV女優のみなさま!
これからもよりよい労働条件の下、
みなさまの偉大なモチモノで、
私たちのイチモツに随喜の涙を流させてください!
私たちは一生あなたたちの味方ですからね!!

2003-03-30-SUN

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