小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の九拾六・・・台風

「ついに来たらしいな」
小林先生の町の上空を、黒ずんだ雲が覆っている。
北小岩 「大型の台風ですね。
 んっ?何か変なものが見えます。
 あれは台風の目ですか?」
小林 「甘いな、北小岩。
 目ん玉ひんむいてみい。
 あれが目の形に見えるか」
北小岩 「もしかすると・・・」
小林 「そうや。
 あそこで怪しくうごめいておるのは、
 台風の目などより
 万倍恐ろしい『台風のあそこ』や!」
「台風の目」はその名に似合わず穏やかだ。
しかし、それと比較にならない脅威を誇るのが
『台風のあそこ』なのである。
世界各地で男の精気を吸い取って拡大する性悪な存在だ。
小林 「台風が来たら無用な外出は厳禁やが、
 男たちがついふらふらと
 戸外に誘い出されてしまっとるやろ。
 それではあやつの思う壺や。
 あそこの中心は気圧がとんでもなく低く、
 かなり濡れている。
 強烈な風と共に
 フェロモン(エロモン)を出すために、
 男は夢遊病者のように近づいてしまうが、
 それが命取りなんや」
充血した秘所はモスラの羽のように
大陰唇をばさばさと動かし、風速を上げていく。
北小岩 「わたくしの友だちが
 海に遊びに出かけております。
 こんな暴風では波が高くなってしまいますが、
 大丈夫でしょうか?」
小林 「それはまずいで。
 今すぐ電話して忠告せい!」
北小岩くんは血相を変えて携帯をプッシュした。
北小岩 「<もしもし。犬山くんですか。
  そちらに『台風のあそこ』の影響が
  出そうなのですがいかがですか。
  なるほど、わかりました。>
 先生、犬山くんたちは
 危険がないように土手の高い方へ
 避難しているそうです」
小林 「あかん!!
 土手の高いところといえば、
 土手高(どてだか)やないか。
 あやつと土手高はぐるや。
 大陰唇の羽ばたきと潮吹きによって
 高潮をおこされ、
 ぱっくり割れた土手の下に
 流し込まれイチコロや!」
北小岩 「すぐに知らせます!あっ!!」
ガラガラヌレヌレドドーーーーン!!!
北小岩くんが危急の存亡にある友へ
リダイヤルしようとした刹那、強烈な落雷があった。
秘所の奥深くから放たれた雷は、
途中でいくつもに分かれ、男の股間に向かった。
北小岩 「たくさんの男の人のおちんちんを避雷針にして、
 雷が落ちました!
 男の人たちは、
 残らず昇天させられた模様です!!」
北小岩くんは携帯のアンテナを伸ばしていたために、
雷が間違えてそこに落ち難を免れた。
小林先生のおちんちんはあまりに小さかったために、
雷が素通りし命拾いした。
男の避雷針をむさぼった秘所は成熟し、
その後ダムに向かった。

小林 「あかん。
 雷がほどよい愛撫になり
 濡れすぎてしまったために、
 ダムをビデがわりにして洗うつもりや。
 ダムに愛液をぶち込まれたら最後、
 水がにごってしまう。
 愛液は決してうまいもんやないから、
 水が飲めなくなるで!」
その時だった。
東の空から『男の台風のあそこ』がやって来た。
そのイチモツは、女の台風を見ると形を変えた。
雲をもっこりさせながら忍び寄っていく。
上空で結合すると、ピストン運動を始めた。
いつしか雷があえぎ声のような音になり、
ふたつの台風はビクンビクンしながら
かなたに消えていった。
北小岩 「ふう〜。何とか助かりましたね」
小林 「ああ。
 だが今年はというだけの話やな。
 来年がまた油断できんで」
北小岩 「と申しますと?」
小林 「『男の台風のあそこ』と『女の台風のあそこ』は、
 気持ちのええことしとったやろ。
 あの様子では妊娠するに違いない。
 ということは、十月十日後に
 また台風の子供が生まれてくるというこっちゃ」

そして生を受けた台風の娘は、
たったの2ヶ月で色気づいてしまうのである。
年頃になった彼女は来年の夏、男を求めて襲来するだろう。
その誘惑に抗うのは至難だ。
世界の男児たちは、今からスポーツに打ち込んで
性欲を発散させておくことが肝要であろう。


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2003-08-18-MON

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