小林 |
「なんや、北小岩か。
いったいどないしたんや?」 |
北小岩 |
「実はわたくし、
学生時代に応援団に憧れておりました。
入団寸前までいったのですが、
他の部からヘッドハンティングされ
そちらに入部してしまったのです」 |
小林 |
「それは何部や?」 |
北小岩 |
「みの虫部です。
みの虫部というのは、
色紙を使ってミノガを育てたり、
枯葉や小枝を貼り付けた
大きな蓑を木にぶら下げ、
その中で数週間過ごして
みの虫と同じ気持ちになってみたりする
という部なのでした」 |
小林 |
「何だかえらい地味やな。
つまり応援団に入り損ねたので、
青春に悔いを残してしまったというわけやな。
まあ、今ちょうど学園祭のシーズンやし、
団部の活躍でも観に行ってみるかいな」 |
先生と北小岩くんは、
電車に揺られて隣町の大学へ向かった。
ここはバンカラな学生が多く、
応援団も日本有数といわれている。 |
北小岩 |
「すみません。
応援団の勇姿を拝見しようと
考えておりますが、
今どちらの運動部を
応援されているのでしょうか?」 |
学生 |
「うちの学校の応援団は、
運動部は応援しませんよ。
文化系の部活動が主なんです。
たぶん女子料理部や
華道部、茶道部あたりを
応援しているんじゃないかな」 |
何だか釈然としないが、
とにかく料理部をのぞいてみることにした。
そこでは名門女子大との
恒例の料理交流戦が行なわれていた。
今回の課題は『鯖のばってら』であった。
決戦の火蓋がきられると、
母校女子料理部の後方に陣取った応援団が
パンツを脱いだ。
|
北小岩 |
「先生、応援団の方々が
薄い昆布をかぶせたおちんちんを、
シャリの上に載せています!」 |
小林 |
「それにしても、
随分ちんちんが変色しているな」 |
先生が怪訝な顔をしていると、
隣にいた事情に詳しい学生が解説してくれた。 |
事情に
詳しい学生 |
「実は応援団は、
昨日から血のにじむような努力をして
今日に臨んだのです。
ちんちんに砂糖をまぶして2時間、
次に塩をたっぷりまぶして
14時間そのままにしておきました。
それからちんちんを酢に1時間ほどひたし、
昆布・ちんちん・寿司飯の順で形をつくり、
氷を使って締めてきたのです」 |
北小岩 |
「なんと!
文化部を応援するために、
そこまでカラダを張るとは!!」 |
小林 |
「よく見てみい。
陰毛を綺麗に剃りあげて、
その部分にガリまで添えてあるで」 |
団員の陰部が変色するのも当然である。
だが、その命がけともいえる応援に女子部も感激し、
俄然勢いに乗った。
逆に相手校部員は圧倒され、
大勝利をおさめることができた。 |
小林 |
「たいしたもんやな。
これは侮れん。
他部への応援も観てみるとするか」 |
先生と北小岩くんは華道部を目指した。
そこでは菊を生けあう対抗戦が行なわれていた。
生けた菊のつぼみが先に開いた方が勝ちなのだ。
しんとした室内に、
先ほどの文化系応援団がなだれ込んできた。
団長の
「そ〜れ、我が大学女子華道部の菊満開〜〜〜!!」
という掛け声にあわせ、
団長と団員は再びパンツを下ろすと、
両足で相撲のしこを踏む体勢をとった。
それからお尻の穴にあらん限りの力を込め、
肛門の菊を全開にした。
団長と団員は華道部の学生に片思いをしている。
彼女たちを勝たせるために、
決死の覚悟で肛門を開き続けたのだ。
緊迫の時が流れる。
いつの間にか三時間が経過していた。 |
北小岩 |
「あっ、こちらの菊のつぼみが開き始めました」 |
大輪の菊が花を開かせると
審査員が勝利を宣告し、
華道部員は涙を流して喜んだ。
その刹那、団長や団員の菊から何かが飛び出した。
|
北小岩 |
「あっ、みんな力を振り絞りすぎて
脱糞してしまいました!」 |
小林 |
「う〜む。
正直言って俺は
文化系の応援団と聞いてナメておった。
それは完全に間違いや。
見事な応援っぷりやった。
ちんちんの機能を失ったり、
片思いの女性の前で
脱糞し絶縁されるリスクを冒してまで
彼らは応援に賭けた。
これは生半可な男にできることやないで!」 |
北小岩くんの両手の握りこぶしに力が入る。 |
小林 |
「今まで応援団と言えば
野球をメインに運動部を応援するものと
考えられてきた。
だが、時代は確実に変わった。
これからの応援団は、
文化系の応援が主体になっていくやろな」 |