小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の百・・・ホクロ

「変やなあ。
 こんなところにホクロはなかったはずなんやが・・・」

真夜中に裏ビデオを観て興奮の極みにあった小林先生。
ふと我にかえるとあるはずのないホクロが
鼻の頭に見えたのだ。
「まあええか。
 睡魔が襲ってきよったし・・・」

興奮疲労でそのまま眠りに落ちてしまった。
朝起きると昨晩のホクロが気になり、
急いで鏡を覗いた。

「あれ?
 なくなっとる。
 だが、鼻の上にうっすら跡が残っとるなぁ」

腑に落ちない先生は、
弟子の北小岩くんを連れて大学病院の皮膚科を訪れた。
この病院にはホクロの神様といわれる
ロビン北路先生がいる。
小林 「実は昨晩遅く学術的なビデオで
 勉強しておりましたところ、
 首にあったホクロが鼻上に動いていたのです。
 そんなことがあり得るものですか?」
ロビン 「あり得ますね。
 ただし、ご覧になっていたのは
 学術的ビデオではなく、
 ワイセツビデオだったのではないですか」
小林 「うっ!」
先生が取り乱したのを見て、ロビン氏は続けた。
ロビン 「それなら間違いありません。
 小林さんのホクロの中には、
 小さないやらしい人が
 住んでいるのですよ」
小林&北小岩 「なんと!」
ロビン 「小さないやらしい人は
 身長が0.3ミリほどです。
 普段は身を守るために
 ホクロの中にいます。
 しかしとてもスケベなので、
 いやらしいことがあると
 ヤドカリみたいに
 ホクロごと移動してきてしまうのです。
 昨晩は無修正のビデオを
 一番見やすい位置で堪能するために、
 鼻の上に陣取ったのでしょう」
北小岩 「そうだったのですか。
 ところでその方は何を食べているのでしょうか」
ロビン 「好物はよっちゃんイカです。
 ですから捕まえて匂いを嗅ぐと、
 イカくさいことがあります」
小林 「そういえば俺の好物はよっちゃんイカや。
 小さないやらしい人は、
 俺のイカを盗み食いしとったんやな。
 こやつ、何の苦労もなく生きおって」
ロビン 「そうとは言い切れません。
 その人は小さいがためのリスクを負っています。
 例えば何人かで集まってエロ本を見ようとして、
 途中でページが戻って
 潰れて死ぬこともあります。
 また、エロに対する好奇心が旺盛過ぎるために、
 クモの交尾をデバ亀しようとして
 巣に引っかかり、食べられてしまうことも」
小林 「自分の命よりエロを最優先するとは、
 ある意味尊敬に値する。
 だが、何やら害虫っぽいしなぁ。
 そいつは退治した方がええんちゃいまっか?」
ロビン 「その必要はありません。
 言うなればヤモリみたいな存在なのです。
 人に危害は加えませんし、
 自分より弱そうな寄生虫なら
 追っ払ってくれることさえあります。
 メラニン色素ともうまくやっています」
小林 「そうやったか。
 そんなに憎めないヤツなら、
 これからは仲よくよっちゃんイカを食いながら
 エロビデオ観賞することにするかな」

そんな悠長なことでいいのであろうか。
実はここ数年の間に、
先生のカラダにはとてつもない勢いで
ホクロが増え続けている。
今ではホクロであらゆる星座を表わせるほどなのだ。
まさに人間プラネタリュームである。
今はまだ小さないやらしい人に対して主の関係にあるが、
他のホクロにもいやらしい人たちが住み始めたら
主従は逆転し、
先生のカラダは乗っ取られてしまうことであろう。
まあ、先生のカラダが乗っ取られたところで、
世の中には何の影響もないし、
いやらしさは今までとまったく変わらないので
どうでもいいことなのであるが。


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2003-11-02-SUN

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