「先生、あそこをご覧ください」
「おっ、中折はんやないか。どないしたんや」
夕暮れの散歩と洒落てみた小林先生と北小岩くん。
とぼとぼ歩いてきたのは、
げっそり痩せこけ傘の骨のようになった
中折不二野男(なかおれふにゃお)氏だった。 |
小林 |
「中折はん。
体の調子でも悪いんでっか。
それとも悩み事でも」 |
中折 |
「あっ、先生に北小岩さん。
ちょうどよかった。
話を聞いていただけますか」 |
近くの喫茶店に腰を落ち着けると、
ポツリポツリと語りだした。 |
中折 |
「どうやら私は半端な暗黒迷宮に
入り込んでしまったようなのです」 |
北小岩 |
「と申しますと?」 |
中折 |
「中途半端な出来事に
立て続けに襲われたのです。
一週間ほど前でしょうか。
公園の草陰からブラジャーの肩紐が
のぞいていました。
お楽しみの後に急いで服を着て、
つけ忘れたのでしょう。
お持ち帰りしようと思って
紐を引くとカップがない。
紐だけだったのです。
紐だけのブラジャーなどゴミ同然です」 |
|
北小岩 |
「それは確かに中途半端です」 |
中折 |
「先日H番組を観ていたら
Hなコマーシャルが流れました。
しかし、CMが
『使ってみました! 感動しました!!
超話題のおま』で切れてしまったのです。
その先が気になって気になって。
こんなこともありました。
20年ぶりに
ラブレターをもらったのですが、
その文面が
『私、中折さんのことを考えると、
思わず私の花園の中が』から
先が破れていて読めなかったのです」 |
小林 |
「欲求不満になりそうやな」 |
中折 |
「それだけではありません。
エロビデオを借りても半端でした。
ちょうどいい場面で、
そこからストーリーが
逆回しするように戻っていったのです。
どんどん話がリターンし、
スレンダーな女の子は
服を着てしまいました。
そういえば、知らない女から
電話がかかってきて、
テレホンセックスを望まれた時も‥‥。
私も嫌いな方ではないので承諾。
さすがに誘ってきただけあって、
女のリードはたくみでした。
もう少しでフィニッシュという時に
相手にキャッチホンが入ったのです。
彼からだったらしく、
女は
『これから私は本物のおちんちんと
お楽しみなの。
悪いけど後は一人でてきとーにやって』
と切られてしまいました。
私はイチモツを握り締め、
呆然とするしかありませんでした」 |
北小岩 |
「それでは蛇の生殺しです!」 |
中折 |
「そうなんですよ。
でも、ビデオもテレホンも
実際にコトに
及んでいるわけではないので、
何とか気持ちの整理を
つけることができました。
しかし、リアルな場面では‥‥」 |
北小岩 |
「それ以上に
過酷なことがあったのですか!」 |
中折 |
「飲み屋で行きずりの女性と
ねんごろになりまして、ホテルへ直行。
彼女の下着に指をかけ、
ゆっくりと下ろしました。
むむむっ! 私は目を疑いました。
茂みが不思議な形に
刈り込まれていたのです。
目で追っていくと、
それは大事なところを目前にして
Uターンのマークとなっていました。
マークの矢印の部分で
私の動きが止まっていると、
女は言い放ちました。
『はい、ここまでね』」 |
|
北小岩 |
「OH,YOUR GOD!」 |
『名は体を表す』ということわざがある。
中折不二野男氏の場合は、
名は体を表すどころか、
名が体の大切な部分の不運を表してしまっている。
早急に改名をお勧めする次第です。 |