小林 |
「う〜む、知らんヤツからやな」 |
北小岩 |
「とはいえ今年の暑さは尋常ではございません。
ここで涼をたしなむのもまた一興だと思われます」 |
小林 |
「俺は遠慮しとくわ。
一人で行ってきたらええ」 |
招待状の差出人は
変性欲太郎(へんせいよくたろう)氏であった。
翌昼、北小岩くんは集合場所の
変性氏宅に向けて歩を運んだ。 |
北小岩 |
「すみません。小林先生は所用で来られず、
わたくしが単独でまいりました」 |
変性 |
「それは残念。
ところであなたは弟子の北小岩さんですね。
さっそくですが、
個室で下着を履き替えてください」 |
参加者はただ一人。渡された袋には、
大人用のおむつが入っていた。 |
変性 |
「装着しましたね。では出発!」 |
くねくねした道を十分ほど歩くと、
納涼会一行はJR山手線の駅に到着した。 |
変性 |
「これから納涼会場に入場します」 |
山手線に乗り込んだものの、
事態を飲み込めず怪訝そうな北小岩くん。
変性氏がするすると近づき、耳元でささやいた。 |
変性 |
「よりどりみどりですよ。
シートに座っている女性の中から、
お気に入りを選んで前に立ってください。
うひひひひ」 |
北小岩くんはスレンダーなカラダの
濡れた唇をした美女に歩み寄ると、
納涼会主催者にひそひそ声で尋ねた。 |
北小岩 |
「それでどうするのですか?」 |
変性 |
「ちょうど女性の眼前に股間がきていますね。
そこで放尿するのです」 |
北小岩 |
「なんと!」 |
変性 |
「もちろんいちもつを出して放尿すれば
罪に問われますが、
おむつをしているわけですし、
怪しげな動作さえしなければ
捕まることはありません」 |
北小岩 |
「しかし‥‥」 |
変性 |
「今ここであなたのズボンを八つ裂きにしたら、
女性はどう思うでしょうか」 |
北小岩くんのズボンに
巨大なハサミが押し当てられていた。
もしズボンを切られ
おむつをしていることがばれたら、
変態と叫ばれること必定であろう。 |
北小岩 |
「わかりました。トライしてみます」 |
意識を集中し括約筋をゆっくりと緩めてみる。
だが、好みの女性を前にした興奮と緊張で、
なかなか放尿に至れない。
そこから三駅過ぎたあたりで、
やっとちょぼちょぼ出始めた。
半分ほど放出したところで、女性が席を立った。
北小岩くんは半身になった拍子に、
尿が引っ込んでしまった。
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北小岩 |
「志半ばにして止まりました」 |
変性 |
「仕方ない。そのまま最後まで出し切りなさい」 |
北小岩くんの膀胱が空になるのと、
膏薬を貼ったおばあさんが
目の前に座るのが同時であった。 |
北小岩 |
「無事終了いたしました。
しかし、なぜこれが納涼会なのですか?」 |
変性 |
「このまま強冷房のきいた
山手線で3周するのです。
今はおむつの尿が温かいですが、
そのうち水分が冷えて陰嚢が縮みあがります。
気がつきませんでしたか。
納涼会の納という字の横に、
小さく嚢の字が書いてあったのが。
つまりこの催しは陰嚢を
とことん冷やすための
『嚢涼会』(のうりょうかい)なのです」 |
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