小林 |
「ほな行きまひょか」 |
渋谷は円山町の喫茶店。男5人。
一行の向かう先は、ラブホテルであった。
小林先生が入口のおばさんに人さし指と中指の間から
親指の先を出すサインを送ると、
ノーチェックで入館できた。
ここのおばさんには、
日頃から極上の大人のおもちゃを贈呈し、
懇意になっているのである。
5人がエレベーターに乗ろうとしたその時。
「ぐげぇ〜」
上階から若い男の重たいうめき声がした。 |
北小岩 |
「どうしたのでしょうか!!」 |
事情を知らない弟子が師匠に問う。
エレベーターを降りると、
3階廊下の天井からぶら下がったどどめ色の紙に、
全裸の男が屹立させたその部分を捕らえられていた。 |
小林 |
「あれはな、
こちらの珍嫌太男
(ちんぎらいふとお)はんが
考案された『チン取り紙』や」 |
北小岩 |
「なんと!」 |
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珍嫌 |
「そうなんですよ。
ここにいるメンバーには、
全員年頃の娘がいます。
愛娘の操が飢えた野獣に
奪われるのではないかと、
日々苦悶しているのです。
ですからもし娘が
ラブホテルに誘われても、
すんでのところで
食い止められるように、
様々な退治法の開発に
余念がないのです」 |
小林 |
「まあ、害虫駆除といったところやな。
あのチン取り紙には
興奮した男が
思わず吸い寄せられてしまう
フェロモンが塗られている。
くっついているのは、
珍嫌はんの娘を狙っている
プレイボーイや。
あれで当分悪さはできんやろ」 |
「ごぎょ〜〜〜〜〜!」
部屋の中から日焼けサロンで
全身を焼いていそうな全裸の男が飛び出してきた。 |
棒潰
出香男
(ぼう
つぶし
でかお) |
「うまくやってくれたようですね。
私は松茸狩りの名人を
放っておきました。
高齢の方なのですが、
大きく育った松茸は
一本たりとも見逃しません。
今の男は名人に
己の松茸を
抜かれそうになったのです。
名人もオフシーズンに
狩りの勘を養えると、
喜んでいます」 |
「ブボーーーーン!!!」 |
玉砕
攻也
(たま
くだき
せめや) |
「最終兵器が炸裂しました。
娘に危機的状況に陥ったら
これを使いなさいといって
渡してあります」 |
錠剤を見せられた北小岩くんが
怪訝そうな顔をしていると、先生が補足した。 |
小林 |
「これはな、『ポコニトロ』という。
危なくなったらキスするふりをして、
男に飲ませるんやな。
ちんちん専用のニトログリセリンや。
瞬間的に血管を拡張し、
ちんちんに流れ込む血液の量を
十倍にしてしまう。
ただでさえ怒張しているイチモツが
ぱんぱんになりすぎて、
お楽しみに及ぶどころではなくなる」 |
玉砕 |
「絶頂の極みにある男が服用すると、
睾丸が吹き飛ぶことさえありますね」 |
北小岩 |
「‥‥」
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