小林秀雄のあはれといふこと |
しみじみした趣に満ちた言葉の国日本。 そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、 深く味わい尽くしていく。 それがこの項の主な趣向である。 其の百弐拾四・・・雛人形 草木も眠る丑三つ時。 小林家の客間に、ふたつの人影。 一人が懐中電灯で下から照らし、 もう一人が天袋の箱をゆっくりと下ろした。 「やっぱり先生の仰せの通りです!」 何のことはない。 小林先生と弟子の北小岩くんであった。 「許せんな! 今年こそきっちり落とし前を つけさせてもらおうやないか」 先生はこう見えて、何よりも年中行事を大切にしている。 桃の節句も例外ではない。 この季節になると、 7段の雛人形を床の間に飾るのである。
最後に何とか自分のプライドを 死守しようとした先生であった。 だが、お内裏様は人形界でも 名うてのマグナム者。 先生にちょうどいいものでは、 きつくて入らないであろう。 生まれてきた子供は、 女だったら官女に、男だったら囃子方にしている。 今、先生の家の雛人形は、 5人官女、7人囃子になっている。 だが、来年またどちらかが増えていることは、 疑う余地もないであろう。 |
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2005-03-03-THU
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