北小岩 |
「大金の入ったお財布でも
拾われたのですか?」 |
小林 |
「アホこくな。
実はな、
新しいビジネスを開拓したんや。
まあ、男のプライドを救世する
代行業といってもええやろな。
男たるもの老若を問わず、
またどんな地位にあろうとも、
かなりエグいエロ本やエロビデオを
所有しているもんや」 |
北小岩 |
「わたくしも蔵書の隙間、
植木鉢の下、米びつの中など、
そこかしこに忍ばせております」 |
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小林 |
「そうやろ。
だがお前が
突然死んでしまったらどうなる。
家族によって
白日のもとにさらされるやろ。
つまり男たちは
巨大なリスクを抱えて
日々生きとるんやな。
お前の場合まだ独身だからええ。
年頃のお嬢さんがいる家庭の
父親やったらどうなる。
ソフトなものなら
愛嬌ですむかもしれんが、
ノーカットのずっこんずっこんの
バッコンバッコンの
びろんびろんやったら
どないするんや!!」 |
北小岩 |
「愛するお父さまとの
ゆりかごのような思い出が
崩壊してしまいます」 |
小林 |
「そこにビジネスチャンスありや。
1人1万円ぽっきり。
そいつが死んでしまった時に、
家族に気づかれずに
エロ製品を救出する契約を結んだんや。
一声かけたら20人ほど集まった。
俺はこれを事業化し、
ベンチャービジネスの旗手として
ウハウハな生活を送ろうと思う」 |
北小岩 |
「それほど儲かるのでしょうか?」 |
小林 |
「甘いな。
エロ製品を所持している
15歳以上の男が、
日本に5000万人いるとしよう。
1人1万でいくらになると思う」 |
北小岩 |
「あっ、5千億円になります!」 |
小林 |
「ちっぽけな日本だけでその額や。
それを世界展開したらどうなる」 |
北小岩 |
「まさしく
エロジャパニーズ・ドリーム
であります!」 |
小林 |
「しかも金だけやのうて、
お宝エロ本やビデオが
ぎょうさん手に入るんやで。
一攫千金どころやない。
一攫玉金や!
ご愛顧に感謝し、不幸があった際は
そいつのちんちんが
でかかったと喧伝する
無料サービスもつけとるんや」 |
数ヵ月後、ある顧客が亡くなった。
契約を履行すべく、北小岩くんを連れて
葬儀後すぐの故人宅におじゃました。
親類が酒を飲み亡き人を偲んでいる。
師弟で出張ったのは、
故人の所有物が本やビデオのみならず、
ダッチワイフや額入りのマン拓など
数多の大物が存在するからだ。
二人は故人とは
哲学書や教養ビデオを通じての
親友ということにしている。
しばらく歓談した後。 |
小林 |
「ちょっと、トイレをお借りします」 |
席を立つと北小岩くんに目配せした。
顧客から預かった見取り図を開くと、
そこにはエロ宝の置き場所が
克明に記されていた。 |
小林 |
「まずは主人の部屋の押入れからやな」 |
扇風機やアルバムをどかすと、
巨大なダンボールに入った
最高級シリコン製ダッチワイフが顔を出した。 |
小林 |
「そっちを持ってくれ。
これは20キロ近くあるんや」 |
中から故人の天使を取り出したその時。 |
親戚 |
「何してる!
どうもそわそわしているから
妙だとは思ったが、
やっぱりこそ泥か!!」 |
小林 |
「誤解や!
わしらは故人から
キャンディちゃんの救出を依頼され」 |
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親戚 |
「何わけわからんこと言ってるんだ。
すぐに出て行かないと
警察を呼ぶぞ!!」 |
小林 |
「あなたはご存じないかもしれませんが、
三郎さんのちんちんは
とてつもなくデカくてですねえ」 |
親戚 |
「この野郎!いい加減にしろ!!」
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