小林 |
「そんなにあわててどないした。
誰の翻意をうながせ言うんじゃい」 |
そっけなく言い放った。
大竿氏は先生の知り合い唯一のイケ面。
幼少のみぎりからこうがん(睾丸)の
美少年の名を欲しいままにし、
ハンパでないモテ方をしてきた。
そのため性体験も豊富だが、
先生はご存知の通り、
素人さんに対するちんちんの使用頻度が高い男を
毛嫌いしているのである。 |
大竿 |
「ナニを隠そう、
翻意して欲しいのは
俺のナニなんです!
イチモツが突然、尼になりたいと
言い出したんです!!」 |
小林 |
「なんと!」 |
話が飲み込めないため、
先生は直接彼のイチモツと話をすることにした。
イチモツは途中で大竿氏が口出しすることを嫌ったため、
先生とイチモツが話し合う時には目隠し、
耳栓することを条件とした。
社会の窓から大物が顔を出した。
それは黒くにぶい光を放ち、歴戦を物語っていた。 |
小林 |
「尼になりたいということやが、
どういうことなんや?」 |
イチモツ |
「大竿はご覧の通りモテモテです。
あのフェイスで口説き文句も絶品。
いつでも美人にちやほやされ、
僕もだいぶいい思いをしました」 |
小林 |
「ふ〜ん。それはよかったな」 |
先生が憎々しげに突き放す。 |
イチモツ |
「しかし、いつしか疑問を
持つようになったのです。
女性は常に本気で
大竿のことを思っていました。
でも彼はすべて遊び。
それを知った女性は深く傷つき、
時にはノイローゼになって
入院することもありました。
それなのに大竿はおかまいなしに
次から次へと‥‥」 |
先生は怒りのあまり
親指を人差し指と中指の間から突き出し、
固く拳骨を握った。 |
イチモツ |
「僕は嫌悪のあまり、
そのような場面になっても
抗うようになりました。
だけどいかんせん、
大竿の脳のシモベでしかありません。
抑制しようと思っても、
刺激には適わない。
結果的に女性を深く傷つけることに
加担してしまいました。
もう耐えられないんです。
大竿と永遠に別れ、
俗世を捨て今までの罪を償うしかない。
そして毛を丸め、
尼になる決意を固めたのです」 |
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小林 |
「そうやったんか‥‥。
てっきりお前もグルやと思っとった。
モテ男(もてお)憎けりゃチンまで憎い。
その考えは改めにゃあかんな。
大竿よ、お前のイチモツは
なかなか立派な方や。
確かに姿かたちも立派やが、
なんとも立派な志や。
俺が翻意を促すなど、
お門違いのようやな」 |
大竿 |
「それでは俺のイチモツは‥‥」 |
息子 |
「お世話になりました。
いい思いをさせていただいたこと、
感謝しております」 |
息子は大竿氏の股間を離れた。
その部分にはぽっかりと穴が開き、
後にはしなびた袋、
大ぶりのふたつの玉だけが残った。
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大竿 |
「ごっ、ごめん。俺が悪かった」 |
イチモツ |
「お元気で。さようなら‥‥」 |
息子は振り返らずに、
左に傾きながら歩いていく。 |
大竿 |
「もう絶対に女性を傷つけないから、
戻ってきてくれ!
チーン、カムバ〜〜〜〜ック!!」 |
大竿氏の目からやわらかい雫がこぼれた。 |
小林 |
「気を落とすんやない。
もう、十分やろ。十分やろ‥‥」
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