北小岩 |
「ふぅ〜、酔っ払いましたね」 |
小林 |
「そやな。このところの暑さで、
金の玉も
蒸したてイカシュウマイのように
なっておる。
ビアホールにでも繰り出さにゃ、
やってられんわな」 |
北小岩 |
「まったくその通りでございます。
んっ、あの人だかりは
なんでございましょうか?」 |
帰宅のため乗ろうとした電車最後尾車両前が、
胸をはだけたセクシー女性で溢れているのだった。 |
北小岩 |
「へんですねえ。
今の時間は
女性専用車両のはずなのに、
男しか乗っていません」 |
小林 |
「う〜む、女たちの目がとろんとして、
視線が通常より
下方に集中しているようや。
お嬢さん、これはいったいなんや?」 |
セクシー
お嬢さん |
「0時発の電車だけ、
女性専用車両が
『巨根専用車両』になるんだよ」 |
小林 |
「なんと!」 |
|
ミニスカ
OL |
「見て御覧よ、車内のイケチンたちを。
ズボンの上からでも
あれほどのシルエットを
誇っているよ。
なんか私、
ジュワッとしてきたみたい」 |
女たちは出発前に品定めをしておき、
お気に入りのキングサイズが下車した駅で降りて、
そのまま腕を組み、
夜のしじまに消えていくのだという。 |
小林 |
「そうだったんか。
それなら当然、俺もこの車両に
乗る権利があるわな。
君は隣りの凡チン車両で
たってなさい」 |
北小岩 |
「おっ、お待ちください!」 |
小林先生の粗品ぶりを銭湯で
何度も目の当たりにしている愛弟子は、
捨て身で行く手を阻んだ。 |
小林 |
「おう、文句あるんか!」 |
師の形相が悪鬼に変化(へんげ)していた。
こうなったら説得は不可能だ。
悪鬼は胸と股間を張り、
車内にずんと乗り込んでいったが、
体が先っぽだけ入るとすぐに、
一番手前の男に制止されてしまった。 |
巨根野郎 |
「ちょっと待てよ。
確かにここは自己申告制だけど、
誰もが入って
いいわけじゃないんだよ。
矮小なモノが混ざってたら、
俺たちのステイタスが
下がっちまうだろ」 |
小林 |
「僕のはあなたのと比べても、
何の遜色もないと思うがね」 |
巨根野郎は先生のベルトを持ち上げ、
ズボン前方に浮き上がったシルエットを確認した。 |
巨根野郎 |
「よくもそんな粗末なもので、
入ってこれたな。
あんた、もしかして宦官?
あははははは!」 |
先生の頬は、屈辱のあまり
紅潮を通り越しドドメ色になった。
『リリリリリ!!!』
発車のベルが鳴る。
先生は憎悪の馬力を出して抵抗したが、
あえなく押し出されてしまった。
だが、降ろされる間際に巨根野郎の
ふんぞりかえった股間を引っ張った。
野郎の体がイチモツを突き出す形でぐらついた時、
ドアがギロチンのように閉まった。 |
巨根野郎 |
「うおぉぉぉぉ〜〜〜!!!!!」 |
野郎の黄金バットはワールドクラスであったため、
その部分だけがドアに挟まり外に出た。
「キャー!」
ホームに残っていた女性から悲鳴があがる。
先生はドアに近づき、
挟まれているイチモツを必死に押し込んだ。 |
北小岩 |
「さすが先生です。
耐えがたき辱めを受けながらも、
武士の情けで‥‥」 |
北小岩くんの瞼は熱きもので洪水となっている。
しかし、それが真実なのだろうか。
異常を感じた車掌がドアを開けると、
巨根野郎は泡を吹いて倒れていた。
実は先生は如意棒を押し込むフリをして、
そこに何度も鋭利な手刀と突きを
打ち込んでいたのだった。 |