小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の百参拾九・・・不思議


「先生、大事です!
 三丁目の空き地に、
 奇妙な館が築かれております」
「あれか。
 実は俺も胸が騒いどった。
 どうやら、偵察の機が熟したようやな」
日が暮れるのを待ち、二人は出張った。
館の壁面には、
夜になると不思議という文字が桃色に浮き上がる。
弟子の北小岩くんが扉を押すと、
「ぷう〜!」というおならもどきの音を立て開いた。
すかしっ屁の香りが鼻腔をくすぐる。

「ようこそ、不思議博物館へ!」

ワイパーつきのメガネをかけた怪しい人物が立っていた。
二人は尻小玉を抜かれそうになったが、なんとかこらえた。

北小岩 「おじゃまいたします。
 あなたはさまは」
男がにんと笑って後ろを向くと、
破れた白衣のおしりに1メートルはある
巨大な浣腸がさしてあった。
小林 「大館長はんでしたか。
 初にお目にかかります。
 ところでこの建物はなんでっしゃろ?」
浣腸
大館長
「世界の不思議な遺跡や現象などを
 独自に調査、発掘、解明し、
 白日の下にさらす博物館ですな」
北小岩 「例えばイースター島のモアイも
 それに該当いたしますか?」
浣腸
大館長
「しません。
 すでに多くの人の
 知るところとなっていますからね。
 うちに陳列されているのはあれです」
暗がりに目をやると、
凝灰石でつくられた
5メートル大のちんちんが屹立していた。
風雨にさらされ続けた歴史を感じさせる。
浣腸
大館長
「モアイのちんちんです。
 16世紀から17世紀にかけて
 起きたといわれるモアイ倒し戦争により、
 かなりの数の像が
 破壊されてしまいました。
 その時に多くのイチモツが霧散し、
 どこかに消えたのです。
 残ったモアイは、
 ちんちんを失った悲しみで
 夜毎むせび泣き‥‥」
北小岩 「石像とはいえ、
 イチモツを失った苦しみは
 想像するに余りあります」
浣腸
大館長
「そうでしょう。
 しかし、私たちは発見したのです。
 イースター島の69キロ先にある
 『気持ちイースター島』の茂みに、
 108本もの如意棒が
 そそり立っているのを。
 これぞモアイの愛息です。
 島は火山活動により
 常にいい感じで振動しており、
 それが刺激になって
 ご立派な姿を保っておりました。
 イースター島へ移動させる計画も
 進行中です」
北小岩 「ぜひそうしていただきたいです。
 とはいえ、お顔に比べると
 かなり大きめな気がいたしますが」
小林 「まあ、いつの時代のどの部族にも、
 見栄はあるということやろな」
北小岩 「おほっ。
 ところでこの航空写真は何でしょう。
 極端に大きな絵に見えますが」
浣腸
大館長
「アヌスの地上絵ですね。
 宇宙人が地球人のお尻の穴を見て驚き、
 上空から落書きしたといわれております。
 数十キロにも及ぶ絵なのですが、
 別名糞の聖地と呼ばれ、
 あらゆる生物が糞を持ち寄っては
 置いていくのです」
小林 「う〜む、不思議なことがあるもんやな。
 こっちにある
 ダッチワイフのような人形は何や。
 同じ女みたいやが、
 右の女体には股間に毛が密生し、
 左のはつるつるになっとるが」
博士 「『毛のバミューダトライアングル』
 の謎ですね。
 フロリダ沖の三角海域に入ると、
 陰毛が突然消えてしまうのです。
 三角形の形をした
 女性の陰毛に限ってなのですが」
小林 「事と次第によっては、
 俺はその毛が欲しいわな。
 いやあ、見事な博物館や。
 これからも贔屓にさせてもらいまっせ!」

世の中には科学では解明できない謎が仰山ある。
それを一つ一つ世に知らしめていく不思議博物館。
今後、世界的に評価を高めていくことであろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2005-12-11-SUN

BACK
戻る