小林秀雄のあはれといふこと |
しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。 そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、 深く味わい尽くしていく。 それがこの項の主な趣向である。 其の百四拾壱・・・自慢 「北小岩の家はどうなんだよ?」 「何も資料がないのでわからないのですが、 わたくしの先祖は小さな土地を耕していた お百姓さんだと思います」 「ふ〜ん。 まあそんなとこだろうな。 俺は家系をたどると、 戦国武将の徳前清則に行き着くんだ。 お前とは家柄が違う。 世が世なら、切捨て御免だぜ!」 「ははあ」(平伏) この会話が半年前。 北小岩くんは度を越えておだやかであるがゆえに、 何かにつけ友人から自慢されてしまう。 そんな時でも彼は、お地蔵様のような微笑を浮かべ、 何時間でも真摯に耳を傾けてくれるのだ。 だが、なぜだろう。 半年もたつときまって、 得意気に自慢をした者たちが己の浅はかさに気付き、 北小岩くんのもとへ懺悔に訪れるのだ。 無礼狼藉の極み、徳前氏も例外ではなかった。
北小岩くんはお地蔵様のようにまあるい顔をして、 切れ長の目から熱いものを滴らせる友の肩をたたいた。 世の中には、自慢する人とされる人がいる。 もし自慢されてしまうのなら、 北小岩くんのように大きな心を持って、 自慢されたいものである。 |
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2006-01-05-THU
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