小林 |
「慎重なのはええ。
お前が出火を怖れる気持ちもよくわかる。
だが、ある程度で切り上げんと、
一生出かけられん」 |
北小岩 |
「ミスによる火災が
恐ろしいのでございます」 |
小林 |
「そうはいっても、
人為的でなくても起こることがあるで」 |
北小岩 |
「と申しますと」 |
小林 |
「自然発火や。
今日はエロ本の即売会に
出張る予定やったが、
どうやら山に進路をとったほうが
よさそうやな」 |
先生と弟子は慢性金欠なので、
リサイクルショップで
2千円で買ったママちゃりにまたがり、
50キロ先へひたすらこいだ。 |
北小岩 |
「さすがに膝が笑ってまいりました。
このあたりでの出火といいますと、
やはり山火事ですか?」 |
小林 |
「話を聞いた時は耳を疑った。
まあ、土地の人に問うてみるがええ」 |
北小岩 |
「ちょうど道端に
おじいさんがいらっしゃいました。
お忙しいところ大変申し訳ございません。
ここで自然発火が起きていると
うかがいましたが、
ほんとうですか?」 |
道端の
おじいさん |
「ああ、この山は
とんでもなく空気が乾燥しておってな」 |
その時だった。
北小岩くんの瞳に奇怪なるものがうつった。 |
北小岩 |
「あれは何でございましょうか。
火のついた動物が
山からころがってまいります。
カチカチ山のタヌキでしょうか」 |
小林 |
「違う。人間の男や。
それも股間から出火しとる」 |
北小岩 |
「このままでは、
あの方は
男性の機能を失ってしまいます!」 |
おじいさんは首にかけていた
巨大な千成ひょうたんの栓を抜き、
シーサーの形相で駆け寄ってきた
男のチン周辺に水をかけ鎮火させた。
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股間
火事男 |
「ふう。
危ないところをありがとうございました」 |
道端の
おじいさん |
「うむ。恐るべきことに、
この地域で自然発火するのは木ではなく、
男の陰毛なんじゃよ」 |
北小岩 |
「なんと!」 |
股間
火事男 |
「そうなんですよ。
きのことりをしていて、
尿意を催したのでイチモツを取り出し、
放尿後手持ちぶさたでこすりあげていたら
いきなり陰毛が燃え出したんです」 |
小林 |
「見たところ、
この男はかなりアブラぎっとる。
想像したくもないが、
たぶん如意棒も油っぽいはずや。
その油が陰毛に染みつき、
摩擦熱で燃え出したんやろ」 |
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北小岩 |
「そういえば、
オーストラリアでは
油分の多いユーカリの木が
自然発火するという話を
聞いたことがあります。
なんでも、火事の熱が
固い殻に入った種が発芽する
助けになっているとか。
人間の子種も木の下の草を燃やし、
熱を利用しようと
しているのかもしれません」 |
小林 |
「それは大いにあり得ることや。
となれば、陰毛の火災も
人類にとっては
有効な作用をもたらすかもしれんな」
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