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「ピ――――。
ギュヤオ―――――――――」 |
「やりました。さすがでございます」
「何を観とるんかい?」
テレビ前で正座し、腕を十字に組み興奮している弟子。
小林先生が、鼻くそをほじりながら声をかけた。 |
北小岩 |
「ウルトラマンのビデオでございます。
わたくしも、
あれぐらいの大きさがあれば、
侵略者たちを懲らしめることができるのに
と思いまして。
でも、人間では無理ですね」 |
小林 |
「そうとも言えんで。
ウルトラマンの強さは認める。
だがな、彼にしても身長は
たかだか40メートルというところや。
公にされていないことやが、
日本にも信じられないぐらい
大きな男がおるんやで」 |
北小岩 |
「と申しますと」 |
小林 |
「まあ、仁徳天皇陵に詳しい人に
話を聞きにいくこっちゃ」 |
仁徳天皇陵に詳しい人は、
大阪は堺市大仙町に在住していた。
北小岩くんは新幹線に乗るお金がなく、
各駅停車を乗り継いだため、
早朝に出発したが
とっぷり日が暮れての到着となった。 |
北小岩 |
「夜分申し訳ございません。
こちら仁徳天皇陵に
詳しい方のお宅ですか」 |
仁徳
天皇陵に
詳しい人 |
「そうですにん。
あんたのことは、
先生からうかがってますにん」 |
北小岩 |
「そうでありましたか。
ではさっそく
質問させていただきたいのですが、
日本にいらっしゃる
信じられないぐらい大きな男というのは
どんな方なのですか」 |
仁徳
天皇陵に
詳しい人 |
「それには、まず仁徳天皇陵の形状を
思い浮かべてくださいにん」 |
北小岩 |
「前方後円墳という、
鍵穴のような形ですね」 |
仁徳
天皇陵に
詳しい人 |
「鍵穴のような形ではなく、
あれはほんとの鍵穴ですにん。
あそこに鍵をさしてまわすと、
巨大なドアが開いて、
中に信じられないぐらい
大きな男が住んでますにん」 |
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北小岩 |
「なんと!
鍵穴といっても、
確か仁徳天皇陵の墳長は
486メートルぐらいあるのでは
ないですか。
それが鍵穴だったら、
中に住んでいる方の身長は、
どうなってしまうのですか」 |
仁徳
天皇陵に
詳しい人 |
「通常の鍵穴が1センチとして、
この鍵穴は48600センチですにん。
日本の男性の平均身長を
170センチとして計算すると、
1:170=48600:X」 |
北小岩 |
「え〜と、8262000センチメートル
ということは、
82620メートルということは‥‥」 |
仁徳
天皇陵に
詳しい人 |
「身長は82.62キロメートルほどに
なりますにん」 |
北小岩 |
「ふう〜。
そんなに大きな人が日本にいたとは。
中から出てくることはあるのですか」 |
仁徳
天皇陵に
詳しい人 |
「たまに出てきて、
甲子園球場に行きますにん」 |
北小岩 |
「阪神ファンなのですか」 |
仁徳
天皇陵に
詳しい人 |
「そういうわけでもないのですが、
球場で売っている
オムソバを食べてる人を、
巨大な虫眼鏡で
うらやましそうに見てますにん」
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北小岩 |
「オムソバは、おいしいですからねえ」
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