小林 |
「大丈夫か!
いったいどないしたんや」 |
北小岩 |
「ご心配をおかけいたしまして、
たいへん申し訳ございません。
用を足そうと思い
ブツを取り出しましたところ、
残暑にて夏バテしているものですから、
重さを支えきれずに倒れてしまいました」 |
小林 |
「お前は俺が心底心配しとるのに、
そんなことを自慢したいんかい!」 |
北小岩 |
「めっそうもございません。
その部分も夏バテで、
まったく使い物にならないのです」 |
小林 |
「まあええ。
かわいい弟子が
これ以上危険な目にあうのを
黙ってみてられん。
残暑を上手にしのぐには、
古来より伝わる知恵を学ばんとな。
俺の先輩で、夏の間に
先人たちの英知を吸収し、
夏バテ知らずになった男がおる。
氏から謙虚に学ぶ必要がありそうやな」 |
その先輩は、応仁の乱の時代から、
京の都で大人のおもちゃを
つくり続けているという名家に居候。
とりどりの涼を体験し、先日帰京したらしい。
氏のもとを訪れた二人は。 |
北小岩 |
「わたくしパーフェクトに
夏バテにやられております。
いい知恵を
お授けいただければと思うのですが」 |
夏バテ
知らずの男 |
「北小岩さんは、
特に下半身が
バテているのではないですか。
『ポコの夏腐れ』という言葉があります。
鯖のように、生きながらにして
傷みきってしまうのです。
それを防ぐには、下半身で涼を味わい、
鍛え直すことが肝心です。
京都は涼に関しても奥が深い。
お豆腐で有名な場所がございますね」 |
北小岩 |
「はい。
高校の修学旅行で訪れ、
湯豆腐を食しました」 |
夏バテ
知らずの男 |
「食べてももちろん美味です。
しかし、暑さでやられたイチモツを、
やさしくおもてなししてくれるのが
京のお豆腐であります」 |
北小岩 |
「?」 |
夏バテ
知らずの男 |
「ぐったりしているブツを、
氷水から取り出した
冷や奴の上にのせます。
玉が縮みあがったら、
今度は湯豆腐の上に。
それを日に何度か繰り返すと、
精力を盛り返し、
疲れ知らずのイチモツになるのです」 |
小林 |
「見事に京の名物と
ちんちんの温冷浴が融合しとる。
薬味などを添えると、
さらにええかもしれんな」 |
夏バテ
知らずの男 |
「町家の知恵もかかせませんね。
井戸からくみ上げた冷たい水を、
夕方などに通行人の股間めがけて
撒くのです」 |
北小岩 |
「気持ちよさそうですね。
カラダの根っこから、
しゃきっとしてまいります」 |
夏バテ
知らずの男 |
「夏の京都といえば川床もかかせません」 |
北小岩 |
「写真で拝見したことがございます。
鴨川も有名ですが、
わたくしは貴船の川床を
味わいたいと思っております」 |
夏バテ
知らずの男 |
「下半身をむき出しにし、
床の下を流れる清流にぶらぶらさせます。
その体勢を保ちながら懐石を味わう。
これ以上の至福はございません。
そうそう、木屋町あたりでは、
パンツを履かずに
股間に簾をかけている人も
多く見受けられますね。
風がよく通り、見た目にも涼しげです」 |
|
小林 |
「さすがに古都の涼はレベルが違う。
北小岩もひとつひとつ、
見習っていかにゃならんな」 |
北小岩 |
「そうですね。
これで夏バテから蘇生し、
優雅な時を過ごせそうです」 |