小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき
言の葉を一つ一つ採取し、

深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の百伍拾参・・・形状

「手遅れだ!すべてが手遅れだ!!」

大先輩からの突然の電話。
不穏な空気を感じ取った小林先生が、懸命になだめる。


小林 「すぐに駆けつけますから、
 早まらずに!」
先生は入浴のため、
股間にお湯をかけたところで電話に出たのだが、
ぶらぶらと水滴をはらうとブツを褌におさめ、
猛然とダッシュをかけた。
小林 「其処我先輩!」
部屋に飛び込むと、
其処我多々抜(そこがたたぬ)氏は
布団に横になり、イチモツを氷嚢で冷やしていた。
小林 「いかがなされました?
 秘所が発熱したのですか」
其処我
多々抜
「そういうわけじゃないんだが、
 ここ数年調子が悪くてな。
 壊滅的だよ。
 小林のソコはどんな按配だね」
小林 「女性からの評価はともかく、
 自分では
 まだ若鮎のようだと思っとります」
其処我
多々抜
「そんなことを言っていられるのも、
 今のうちだけだな。
 俺も若い頃には、
 太平洋の名を欲しいままにした女性が、
 まるでシロナガスの踊り食いみたいね、
 と感嘆の声をあげたほどだ」
小林 「‥‥」
其処我
多々抜
「だが、今はシロコンニャクと戦っても
 負けるだろう。
 お前にはそうなってほしくないんだ」
小林 「お心遣いありがとうございます。
 それはそうとして、
 手遅れというのは?」
其処我
多々抜
「先日知り合いの博士に聞いたのだが、
 今の科学の粋を集めてことにあたれば、
 全盛時の状態を
 形状記憶できるらしいのだ」
小林 「形状記憶というのは、
 形状記憶合金のことですか?」
其処我
多々抜
「その技術を応用するんだ。
 イチモツがMAXになった時の温度を
 記憶させたチタンとニッケルの合金を
 ブツに埋め込む。
 そうすればもし不全になっても、
 合金が活躍してくれて、
 天に向かい屹立できる。
 つまり形状記憶合チンだな。
 若鮎というのは眉唾だが、
 まだお前なら
 そこそこの角度を
 記憶させることができるだろう。
 俺はもうダメだ。
 記憶させようにも、
 自分ではMAXだと思っていても、
 ほとんど角度なんてついてねえ」
小林 「でも、自分の気持ちと関係なく、
 温度で角度がついてしまったら、
 面倒なことになりませんか」
其処我
多々抜
「ならんな。
 例えば風呂でイチモツをあたためた温度で
 MAXになるように設定しておけばどうだ。
 臨戦前に浴槽であたためる。
 それで何歳になっても、
 ぶっとい避雷針のように
 猛々しい角度を保つことができるんだ」
小林 「なるほど。
 冷えるまでが勝負のようですが、
 今処置を施しておけば、
 私のイチモツも一生安泰なのですね。
 ぜひ、その博士をご紹介下さい!」

小動物を狙うヒョウのように、
目を異様に輝かせる小林先生。
若鮎などと虚勢を張っていたが、
今でさえMAXといっても、
柔らかいちくわとか、その程度のものだ。
それに先生が形状記憶合チンを搭載したとしても、
肝心のお相手がいないのだから、
風呂でのおもちゃぐらいにしかならないであろう。

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2006-12-07-THU

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