北小岩 |
「未婚であるわたくしの手には
負えませんね。
翁にうかがってみましょうか」 |
翁というのは、
町外れの広大なあばら家に住む老人である。
ガラガラガラ
「御免!」
いつでも声を掛ける前に現れる。
先客の茶請けであるよもぎ饅頭を頬張りながら。 |
翁 |
「やっぱりそれは
親子の対話が不足しとるんじゃな」 |
話の中身を知らないはずなのに、
いきなり核心をついてくる。
翁は菓子が出されていそうな家の壁に耳をつけて、
盗み聞きしているらしいのだ。 |
近所
の人 |
「そんなことありません。
毎日家族で食卓を囲み、
息子には積極的に話しかけております」 |
翁 |
「あなたもまだ青いですな。
親子の対話というのは
そんなもんじゃない。
父のムスコと息子のムスコが
対話しているのかというこっちゃ」 |
北小岩 |
「と申しますと?」 |
翁 |
「ちんちん同士が直接話さなければ、
コミュニケーションなど
できないということですわ」 |
北小岩 |
「なんと!」 |
翁 |
「わしは息子を10人育て上げた。
息子たちはいかなる時でも
わしを尊重してくれるな。
無視されたことなど一度もない。
これもお互い全裸になって、
毎日何時間も
ちんちんとちんちんを突き合わせ、
話をさせていたからじゃ」 |
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北小岩 |
「おちんちんは話ができるのですか」 |
翁 |
「もちろんじゃ。
ほとんどの人が聞き取れないほど
小さな声じゃがね」 |
近所
の人 |
「思春期のムスコとあなたのムスコは
どんな話をされていましたか」 |
翁 |
「男なら誰でも身に覚えがあるじゃろうが、
その年代のちん坊は、
日チン月歩に変化する。
見かけも変わるし、
砲身としての役目もになってくる。
変化についていけずに、
ぐれてしまうちんもあるんじゃ。
パンツの中で一人ぼっち。
どう生きていけばいいかもわからない。
不安を感じるのも当然じゃ。
わしのムスコは、息子のムスコに
自分の体験を包み隠さず話しとった。
初めての発射。
進路に悩んだ日々。
異性との恋。
そして幾多の失敗。
時には亀頭で
殴り合いをしたこともあったわな。
そうやってわかりあい、
きちんと反目しあい、
親を乗り越えていくんじゃ。
まあ、わしが1日に何度も
ムスコを上下動させていたことも、
すっかりばらされてしまったがな。
あはははは」 |
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北小岩 |
「なるほど。
下半身同士が直接対話すれば、
口でしゃべるよりも、より深く、
男の本能に近いところで
わかりあえますね」 |
近所の人 |
「私もさっそく自分のムスコと
息子のムスコを対話させてみます。
ありがとうございました!」
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