小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき
言の葉を一つ一つ採取し、

深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。


其の百伍拾八・・・環境適応


「ぐっ、ぐげげええ」
コタツにあたってテレビを凝視していた先生と弟子が、
頬張っていたみかんを
のどに詰まらせたのは同時であった。

小林 「恐ろしすぎるで!」
弟子が無言でうなずく。
インドの山の奥の奥。
そこにはちんちんを大好物とする、
ちん食いタイガーが生息するという。
その特殊なトラは、
人間の他の部位には興味を示さない。
ある意味、グルメなトラと言えるであろう。
北小岩 「長い歴史の中で
 幾人もの方が就寝中に襲われ、
 大切なモノを失ってきたのです。
 非力な我々人類には、
 防ぐ手立てがありません」
その時、ナレーションのトーンが
明るく力強くなった。
ナレー
ター
「しかし、生物が生存していくための
 環境適応能力とは、
 凄まじいものだったのです!」
先生と弟子は耳をダンボにし、次の言葉を待った。
ナレー
ター
「陰部をちん食いタイガーから守るため、
 陰毛が進化を遂げたのです!!」
小林&
北小岩
「?」
ナレー
ター
「陰毛は長く太く硬くなり、
 先端が針のように鋭利になりました。
 そして、陰部の危機を感じると天を衝き、
 タイガーがそこを噛もうとすると
 目に刺さるため、
 襲撃できないようになったのです」
小林 「なるほど!
 はりねずみの要領や!!」
北小岩 「ふう。
 さすがのちん食いタイガーも、
 ひとたまりもありませんね」
番組はCMの後、
海外に住む日本人男子の環境適応の話題に移行した。
ナレー
ター
「何代かに渡って北欧で生活し、
 身体を適応させていった日本人がいます」
北小岩 (ナレーターにこたえるように)
「日本人も異国で
 がんばっていらっしゃるのですね」
ナレー
ター
「日本男性が小便をする場合、
 北欧の便器の位置は
 あまりに高すぎました。
 特に小柄な人は、
 便器が胸や顔に来てしまうケースが
 後をたちませんでした。
 それを解決すべく、
 身体が驚異の進化をみせたのです」
小林&
北小岩
「?」
ナレー
ター
「性器の位置が何世代かを経て、
 徐々に上がってきたのです。
 ついには胸や額にまで至り、
 労せず高い便器で
 放尿できるようになりました」
北小岩 「なんと!」
小林 「性器のあった部分は、
 どうなったんや?」
ナレー
ター
「性器の後には窪みが残ったため、
 そこに小さな神棚をつくり、
 毎日拝めるようにしました」
小林&
北小岩
「‥‥」

環境適応‥‥。
それは生きとし生けるものが、
ギリギリのところで己を変えてきた肉体の歴史である。
もちろん現在が終着点ではなく、
これからもあらゆる場所で思いがけぬ適応が、
長い時間をかけてなされていくことであろう。

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2007-02-08-THU

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