小林秀雄のあはれといふこと

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を
一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の百六拾七・・・デジタル


「ごめんくだちん。いらっしゃいますかき。
 ごめんくだちん。いらっしゃいますかき」

玄関から角笛のように甲高い声が響いてきた。

小林 「またワケのわからんやつが
 来おった。
 近所迷惑や。
 北小岩、黙らせて来い」
弟子の北小岩くんは
必死に金剛力士像のような形相をつくり玄関に向かうと、
そこには頭にパラボラアンテナを立てた珍妙な男が
仁王立ちしていた。

北小岩 「かなり卑猥な呼び方を
 されていたようですが、
 御用でございますか」
パラ
ボラ男
「あなたはもうチューナーを
 購入されちんですか?」
北小岩 「えっ?何がでございますか」
パラ
ボラ男
「2011年から
 ちんちんのデジタル化が
 始まることを知らないのですか。
 つまり、それ以降アナログのちんちんは
 チューナーがないと
 使用できなくなるんですまた」
北小岩 「なんと!」
パラ
ボラ男
「しかしです。
 これにつなげば、今後も問題なく
 お楽しみになることができますかき」
小林 「なるほどな。
 ちんちんをデジタル化すれば、
 今までよりも
 いろいろな可能性が
 広がるかもしれんな」
北小岩 「あっ、先生」
パラ
ボラ男
「そうなんですよ。
 デジタルですと、
 アナログと違って劣化しませんずり」
小林 「近頃俺の股間の昇り龍も、
 心なしか劣化し始めている気がしておる。
 お前はどうや」
北小岩 「わたくしなど、使い始めて
 すぐに激しい消耗に見舞われました」
小林 「お前の場合、
 モノも貧相やから余計に悲惨や。
 そういう意味でも、
 早めのデジタル化は
 望ましいかもしれんな」
パラ
ボラ男
「劣化しないだけではございません。
 今までありえなかった
 いろいろな
 エンジョイ&コンビニエンス機能が
 付加されます。
 例えばですね、
 ちんちんショッピングなども
 可能になるんです。
 もしあなたのブツで
 女性が満足できなかった場合、
 間髪をいれずに
 大人のTOYを注文することができます。
 あなたのイチモツデータは
 同時にメーカーに送られているので、
 それとは比べ物にならないほど
 立派な道具を
 手に入れることができるのですっぽん」
小林 「なっ、なるほど」
パラ
ボラ男
「他にも蟻の門渡りに
 地域のニュースや速報も流れます。
 アンケートだってとれるし、
 イチモツを介した
 視聴者参加型リアルタイムクイズだって
 お手の物です。
 また、今まで何と無くぼやけていた
 ちんちんが鮮明になり、
 より猛々しく見えるでしょじょ」
小林 「何だかわからんが凄そうやな。
 チューナーはいくらするんや?」
パラ
ボラ男
「一台5万円ですが、
 今日は特別にお二人で
 10万のところを
 8万に勉強させていただきまん」
小林 「マンにも影響することやから、
 単位が万というのは仕方ないとしても、
 ちょっと高すぎる気がするんやが」
パラ
ボラ男
「しかし、このままでは
 4年後にイツモツが
 使えなくなってしまうのですよ。
 あなたのような男前の方が
 それでは、ご婦人たちも
 お困りになりちんでしょういんしん」
小林 「しゃあない。買うたるわ」

いとも簡単にインチキ毒牙にかかってしまった先生たち。
こんなくだらないものに、
3年ローンを組まされてしまった。
己のちんちんが脆弱なため、
つい人より優位に立てそうな話にのってしまう。
くわばらくわばら。

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2007-09-30-SUN
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