小林 |
「どうしたんや。
それほど悔しいことがあるなら、
べろんちょと開陳せんかい」 |
北小岩 |
「わたくしは、生まれてから
一度もモテたことがございません」 |
小林 |
「それはようわかっとる。
俺のように天が二物も三物も
巨大なイチモツもあたえたものを思えば、
親の仇を噛み砕く勢いで
歯ぎしりしたくなるやろな」 |
北小岩 |
「というよりも、
実は今、
夜這いに関する研究をしておりまして、
その時代に
わたくしも生まれておりましたら
暗闇に乗じてモテモテだった気がして。
お見苦しい姿を
お見せしてしまった次第でございます」 |
小林 |
「まあ今の時代にモテなければ、
いつの時代でもモテないやろ。
お前が夜這いをかけたところで、
寝所に忍び込めても
相手のおなごはイチモツが小さすぎて、
去勢した男が闖入してきたと
勘違いすることになるやろな」 |
北小岩 |
「そうでございましょうか」 |
小林 |
「ああ。
その点俺のような
ガリバーのイチモツの持ち主ならば、
暗闇の中でも家屋に近づいただけで
空気の密度が変わり、
うっとりと迎え入れてくれることやろ」 |
ちんちんちろりん。
ちんちんちん。
その時玄関の引き戸につけた陰嚢型の鈴が、
間抜けな音を立てた。
|
小林 |
「おお来たか。待ってたで。どうや?」 |
謎の
エンジ
ニア |
「ついに完成しました!」 |
北小岩 |
「何がでございますか?」 |
小林 |
「夜這いマシンができたんや」 |
北小岩 |
「ほんとうでございますか!
それさえあれば、
わたくしの儚い夢はかなうのでは。
いったいどのようなマシンでしょうか」 |
謎の
エンジ
ニア |
「これです」 |
北小岩 |
「これ?
中学生の時に
クラスメートの馬鹿男が
『家で見つけた』といって持ってきた、
男用大人のおもちゃの電動ふぐに
似ている気がいたしますが」 |
小林 |
「モテる男の家に、
この『夜這い2号』を夜毎通わせるんや」 |
|
謎の
エンジ
ニア |
「そうなんです。
夜這い2号にはイチモツの形状、
大きさのモノを感知し、
下着を脱がせて
自動装着されるような仕掛けが
ほどこされています。
そればかりでなく、
ねずみぐらいの大きさに
縮んで移動できるので、
家の壁に穴があれば
入っていくことができます」 |
小林 |
「夜勝手に家に忍び込んで、
男の精を吸い尽くすというわけや。
夜毎抜かれ続けていれば、
どんなモテ男でも
いざとなっても
ヤル気が起こらなくなるやろ」 |
北小岩 |
「わたくし、夜這いというからには
もっと艶っぽいものを
想像しておりましたが」 |
小林 |
「甘いな。
何台も作製しモテるやつらを
片っ端からつぶしていけば、
それだけ俺たちのチャンスも
増えるというこっちゃ」 |
謎の
エンジ
ニア |
「ですな」 |
小林&
謎の
エンジ
ニア |
「わはははははははは」 |
小林 |
「ところで、ひとまずこのマシンの性能を
己自身で確かめねばならんやろな。
一晩俺が借りてみるわ」 |
北小岩 |
「‥‥」 |