小林 |
「!?」 |
ガラッ。 |
小林 |
「やっぱり、お前らか」 |
小林先生の正式な弟子といえば、
言わずと知れた北小岩くん唯一人。
だが、先生なんぞは何の役にも立たず
学ぶところも皆無だと思うのだが、
蓼食う虫も好き好きで、
自称弟子たちが数多く存在するのだ。 |
小林 |
「来るのは別に構わんが、
呼び鈴を押すかわりに
手に口を押し付けて
屁みたいな音を出すのは
やめてくれへんか」 |
自称
弟子A |
「申し訳ございません。
つい景気づけで。
実は私たち4人、
たった今海外より戻ったのです。
4人とも別々の国を訪れておりました」 |
自称
弟子B |
「先生に本場の雰囲気を
味わっていただこうと思いまして、
各自がスーベニアを持参した次第です」 |
北小岩くんが、コブ茶とよっちゃんイカを運んできた。 |
北小岩 |
「随分大きなおみやげでございますね。
この包み、
高さが2メートルはございます」 |
自称
弟子A |
「ロシアから苦労して持ってきました」 |
北小岩 |
「もしかすると、
特大のマトリョーシカですか」 |
自称
弟子A |
「そうです。
ロシアにも一つしかない傑作品です」 |
Aが包装紙を破くと、一同息を呑んだ。 |
北小岩 |
「マトリョーシカといえば
一般に女性の像ですが、
これはおちんちんですね」 |
自称
弟子A |
「そうなんですよ。
ちんちんの中に、
大きさの違うちんちんが
69本入っています」 |
|
小林 |
「さすがロシア!
ビッグスケールやな。
幸先いいで。
ほんじゃま、次いこか。
君は何や?」 |
自称
弟子B |
「僕はインドに行ってまいりました」 |
小林 |
「そのシルエット、コブラの剥製か?」 |
自称
弟子B |
「大当りです。見事なものでしょう」 |
小林 |
「う〜〜〜む」 |
Bが差し出したものは、
鎌首をもたげた小さなブラジャー。
略してコブラであった。 |
自称
弟子C |
「Bくん、はずしましたね。
でも、これは
気にいっていただけると思います。
ロンドン・テムズ川の跳開橋、
タワーブリッジの
動力付きミニチュアです。
トイレの小便器に装着します。
普段は閉まっているのですが、
小便をするため
イチモツが通ろうとすると跳ね上がり、
無事用を足すことができます」 |
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小林 |
「コブラよりはましかもしれんな」 |
自称
弟子D |
「私は芸術性の高いものを
お持ちしました。
タヒチで描かれた絵画」 |
北小岩 |
「ポール・ゴーガンですか?
しかしそのように高価なものが
手に入るわけございませんね」 |
自称
弟子D |
「いえ。
私財をなげうち、
決死の覚悟で入手しました」 |
煌びやかな額におさまった油彩。
それは焦げ茶色のぽこちんと睾丸を描いた作品だった。 |
小林 |
「なあ、このサインをよく見んかい。
これはポール・ゴーガンではなく、
ポール・コーガンや。つかまされたな」 |