KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の百七拾七・・・スーベニア


プ〜。プ〜。プ〜。プ〜。

小林 「!?」
ガラッ。
小林 「やっぱり、お前らか」
小林先生の正式な弟子といえば、
言わずと知れた北小岩くん唯一人。
だが、先生なんぞは何の役にも立たず
学ぶところも皆無だと思うのだが、
蓼食う虫も好き好きで、
自称弟子たちが数多く存在するのだ。
小林 「来るのは別に構わんが、
 呼び鈴を押すかわりに
 手に口を押し付けて
 屁みたいな音を出すのは
 やめてくれへんか」
自称
弟子A
「申し訳ございません。
 つい景気づけで。
 実は私たち4人、
 たった今海外より戻ったのです。
 4人とも別々の国を訪れておりました」
自称
弟子B
「先生に本場の雰囲気を
 味わっていただこうと思いまして、
 各自がスーベニアを持参した次第です」
北小岩くんが、コブ茶とよっちゃんイカを運んできた。
北小岩 「随分大きなおみやげでございますね。
 この包み、
 高さが2メートルはございます」
自称
弟子A
「ロシアから苦労して持ってきました」
北小岩 「もしかすると、
 特大のマトリョーシカですか」
自称
弟子A
「そうです。
 ロシアにも一つしかない傑作品です」
Aが包装紙を破くと、一同息を呑んだ。
北小岩 「マトリョーシカといえば
 一般に女性の像ですが、
 これはおちんちんですね」
自称
弟子A
「そうなんですよ。
 ちんちんの中に、
 大きさの違うちんちんが
 69本入っています」
小林 「さすがロシア!
 ビッグスケールやな。
 幸先いいで。
 ほんじゃま、次いこか。
 君は何や?」
自称
弟子B
「僕はインドに行ってまいりました」
小林 「そのシルエット、コブラの剥製か?」
自称
弟子B
「大当りです。見事なものでしょう」
小林 「う〜〜〜む」
Bが差し出したものは、
鎌首をもたげた小さなブラジャー。
略してコブラであった。
自称
弟子C
「Bくん、はずしましたね。
 でも、これは
 気にいっていただけると思います。
 ロンドン・テムズ川の跳開橋、
 タワーブリッジの
 動力付きミニチュアです。
 トイレの小便器に装着します。
 普段は閉まっているのですが、
 小便をするため
 イチモツが通ろうとすると跳ね上がり、
 無事用を足すことができます」
小林 「コブラよりはましかもしれんな」
自称
弟子D
「私は芸術性の高いものを
 お持ちしました。
 タヒチで描かれた絵画」
北小岩 「ポール・ゴーガンですか?
 しかしそのように高価なものが
 手に入るわけございませんね」
自称
弟子D
「いえ。
 私財をなげうち、
 決死の覚悟で入手しました」
煌びやかな額におさまった油彩。
それは焦げ茶色のぽこちんと睾丸を描いた作品だった。
小林 「なあ、このサインをよく見んかい。
 これはポール・ゴーガンではなく、
 ポール・コーガンや。つかまされたな」

自称弟子たちだけあって、
まともなみやげは何一つない。
もらっても置き場に困るような粗末なものばかり。
最も、先生にはこの程度のスーベニアが、
お似合いであろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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postman@1101.comに送ってください。

2008-02-24-SUN

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