KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の百八拾参・・・仲良きことは


北小岩 「惜しい方を亡くされましたね」
小林 「‥‥」

愛弟子の問いかけに答えることもできず、
師は虚ろな目で泥人形のように固まったままだ。
小林先生には、
生涯の目標としていた男がいた。
もうすぐ90に届こうとしていたおじいさん。

歳を重ねるにつれ、
背は縮んでしまったものの、矍鑠として。
おばあさんとは幼馴染。
幼少の頃から、着物めくりをしては困らせていた。
華燭の宴を挙げてからも、
70年の月日が流れていた。
それなのに、二人で散歩している時には。

おばあさん 「ひゃっ!」

おじいさんは突然秘所を弄ったり、
胸を揉みしだいたり、指浣腸を刺したり。
それでにこにこしている

おばあさん 「やめてくださいよう、おじいさん」

その度におばあさんは10センチほど飛び上がり、
恥ずかしさで頬をぽっと赤らめる。
おじいさんは勢い余って、
手を浣腸の形にしたまま
ドブにはまってしまうこともあった。



近所の主婦たちからは、容赦のない白い目。

蠍主婦 「いやらしいわね、あの狒狒爺」
蛇主婦 「おばあさんもおばあさんよ。
 やられるままになっていて。
 私だったら、
 拳骨で鼻を砕いてるわ」

そんなおじいさんであったが、
群を抜いた助平力も歳には勝てず、
ついにお迎えがきてしまった。
親交が深かった先生と弟子も、
最後の時に立ち会った。
意識が朦朧としていたおじいさんが
カッと目を見開くと。

おじいさん 「おばあさんや、こっちへおいで」
おばあさん 「何ですか。おじいさん」
菩薩のように静かな笑みを浮かべ、
ベッドに近づく。
おばあさん 「ひゃっ!」

10センチ飛び上がった。
おじいさんの手が、
的確におばあさんの秘所をとらえていた。
おばあさんが宙に浮いている時も、
地上に再び降り立っても、
皺しわな手がそこから離れることはなかった。
数分後、おばあさんは
大切なものをやさしく包み込むように
その手を握り、天に召された夫に。
おばあさん 「おじいさん‥‥‥。
 ほんとにありがとね。
 85年以上も毎日構ってくれて。
 こんなおばあちゃんになっても、
 毎日毎日構ってくれて」


先生と弟子の目に、
熱いものが溢れている。

おばあさん 「恥ずかしかったけど、
 それでもうれしかったのよ」

いくつになっても、
エッチなちょっかいを出し続けられる仲。
それが夫婦の幸せのひとつであることは、
間違いないであろう。

仲良きことは‥‥

偉大な助平じいさんに合掌。

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2008-04-13-SUN

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