北小岩 |
「おだやかなお天気で
ございますね」 |
小林 |
「梅雨の中折れといったところやな」 |
聞くに値しない会話を続けながら、
エロ本の見本市に向かう師弟。
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北小岩 |
「あれに見えるは、
クラシックさんではございませんか」 |
その男、
古今東西あらゆるクラシカルミュージックに
造詣が深いため、そんなあだ名で呼ばれている。
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北小岩 |
「あなたはなぜ
電信柱に抱きついているのですか」 |
クラシック
さん |
「あまりにいい形をしていたもので、
私の匂いをつけていたのです」 |
訳のわからないことを口走る。
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クラシック
さん |
「お二人とも相変わらず暇そうですね。
海外の有名な合唱団が来日し、
今からコンサートがあるのですが、
一緒にいかがです」 |
北小岩 |
「わたくしたちはこれから」 |
小林 |
「北小岩、それは今度にしよう。
俺もクラシカルミュージックには
一家言あるからな。
お伴させていただくで。
で、どこの合唱団なんや」 |
クラシック
さん |
「三つの合唱団を堪能できます。
ひとつめは少年たちで、ウイ」 |
小林 |
「わかった。
それ以上言わんでよいわ。
釈迦に説法ちゅうもんやで」 |
三人はナンバ走りで会場へと急ぐ。
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クラシック
さん |
「今日は特別に、
テノール歌手が歌い上げ大ヒットした、
あの名曲も披露するそうです」 |
北小岩 |
「わたくし、
よくトイレで口ずさんでおります。
楽しみですね」 |
ブザーが鳴ると、会場は静まりかえった。
幕があがり、そこには色白の少年たちが。
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クラシック
さん |
「一曲目が例の曲です」 |
ピアノ前奏が始まると、
少年たちはズボンのファスナーを下ろし、
観客をおちょくるように、
あどけない如意棒を取り出した。
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小林 |
「むっ、様子がおかしい。
そうか。
こいつらは有名な
オーストリアの合唱団やなくて、
『ウインナー少年合唱団』や!」 |
北小岩 |
「なんと!」
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場内のざわめきをものともせず、
高らかに歌い始める。
♪ ちんのか〜すに〜
ちんのか〜すにな〜て
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北小岩 |
「わたくしの愛する曲ではないようです」 |
だが、歌声はどこまでも澄んでいて、確かに美しい。
先生はクラシックさんの手から
オペラグラスを強引にとった。
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小林 |
「天は二物を与えずやろ。
巨大なモノをぶら下げとる俺の前で、
粗末なモノを振り回しよって」 |
凝視した先生の手が小刻みに震え、
オペラグラスがすべり落ちた。
信じられないほど、どデカかかったのである。
放心状態のまま第一部が終わり、
休憩をはさんで二部が始まった。
先ほどより年長者が登場したものの、
やはりチャックを下ろし始めた。
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北小岩 |
「少年たちも十分に大きかったですが、
比べ物にならないほどご立派ですね」 |
クラシック
さん |
「彼らはフランクフルト青年合唱団です。
でも、三部のボンレス壮年合唱団の方が、
年季が入っている分、凄まじいですよ」
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銭湯でも温泉でも、男のブツには目を背ける先生。
それなのに、今日はボンレス壮年合唱団の
汚らわしきイチモツを、大量に目にしてしまった。
それから数日間、
ソーセージ&ハム系の悪夢にうなされることとなった。 |