KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の百九拾六・・・音符


草木も夢見る丑三つ時。

「すやすやうはうは」

慢性的な金欠病のため、
趣味などにまったくお金をかけられない北小岩くんは、
エッチな夢の中で存分に振舞うことを
無情の喜びとしている。

「ううう。ぐぐぐ。むっ」

それなのに、思わず目覚めてしまったのはなぜか。
下半身から、「たんたんたぬき」のメロディーが
聴こえてくる気がしたのだ。
体の柔らかい北小岩くんは、
柔軟体操の姿勢を取ると、
耳を股間に近づけて。

北小岩 「間違いございません。
 わたくしの玉袋の中からでございます。
 睾丸さん、
 あなたはなぜメロディーを
 奏でているのでございますか?」

もちろん返事はない。
弟子は金ギョクが気になり、
朝まで寝付けなかった。

北小岩 「早めでございますが、
 燃えないゴミを出してしまいましょう」

家のガラクタをまとめ、ゴミの集積所に向かうと。

北小岩 「随分大きなカラスがいらっしゃいますね」

目を凝らすと。

北小岩 「カラスではございません。
 物知りで有名な
 何出毛(なんでも)さんでした」
何出毛 「どうしたんですか。
 随分早いじゃありませんか」
北小岩 「実は摩訶不思議なことが起こりまして」
何出毛 「何でもわかりますから、
 おっしゃってください」
北小岩 「真夜中にメロディーを耳にしたのです。
 それが、
 音はふぐりから出ているようなのです」
何出毛 「ははあ。
 あなたの家には楽譜があるでしょう」
北小岩 「小林先生は楽器が上手ではありませんが、
 楽譜を眺めるのが趣味なので、
 色々ございます」
何出毛 「音符もね、
 上手に演奏されていないと
 欲求不満になってしまうのですよ。
 それで夜中に譜面から飛び出し、
 ちんちんの先から入って睾丸を震わせ、
 旋律をなぞっていたのですね」
北小岩 「でもなぜタマタマに」
何出毛 「音符は別名、
 おたまじゃくしといいます。
 睾丸の中には、
 別のおたまじゃくしがいるから、
 誘われたのでしょう」


その時、向こう正面の奥さんが
ゴミを出すために近づいて来た。

奥さん 「ちょうどよかったわ。
 大きな声では言えないんだけど、
 今朝起きたら、
 私のまんドコロからカエルが出てきたの。
 どうしてかしら」
何出毛 「あなたの娘さん、
 近頃ピアノ弾いていないでしょ」
奥さん 「まったく」
何出毛 「北小岩さんのケースと同じなのですが、
 譜面から家出した音符が、
 大切な場所に入ってしまったのです。
 ちょうどいい温度だったので、
 そこで成長して、
 カエルになったのです」


そのカエルは、
ジャンプするたびにメロディーを奏でるという。
やっぱり音符って、生き物だったんですね。

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2008-07-06-SUN

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