北小岩 |
「突然、秋になりましたね」 |
小林 |
「散歩の距離も長くなるし、
途中でエロ本を拾える可能性も
高くなるわな」 |
俳句でもひねりながら歩けば風流と言うものであるが、
二人にそれを期待するのは無駄である。
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小林 |
「ピピン!
俺のアンテナが何かをとらえた。
そこや!」 |
北小岩 |
「ブ・ラジャー!」 |
弟子が突撃すると、
電信柱の裏にみだらなパッケージの裏ビデオが
鎮座していた。
「どけどけどけ!!」
その時だった。
腰をかがめて取ろうとしている弟子に、
暴走自転車が突っ込んだ。
弾みで北小岩くんは倒れ、
犬の糞の上に手をついてしまった。
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小林 |
「何するんや!」 |
暴走自転車 |
「うるせえ!
たらたらしてんじゃねえ!!」 |
スピードを上げ、自転車は逃走してしまった。
だが10秒後。
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暴走自転車 |
「うわ〜〜〜」 |
自転車は数十メートル先の電信柱に激突。
生意気野郎は転倒し、
北小岩くんが手をついた糞の三倍以上ある巨糞に、
顔から突っ込んだ。
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小林 |
「見事や!」 |
北小岩 |
「わたくしには事態が飲み込めませんが、
いい気味でございます〜〜〜」 |
弟子はしょっぱい涙を流しながら、快哉を叫んだ。
先生は道の途中に立っていた男のもとに駆け寄ると、
深々と礼をした。
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小林 |
「息矢(いきや)の達人が、
我が国にも数人存在すると
聞いておりましたが、
このように近き場所におられたとは」 |
息矢の達人 |
「見られてしまいましたか」 |
北小岩 |
「息矢というのは何でございますか?」 |
小林 |
「あの糞野郎が倒れたのは、
自分のミスやない。
この方が、ヤツのケツの穴をめがけて、
この世のものとは思えないほど
強く鋭い息を吹いたんや。
ヤツのアスホールはそのために変形し、
バランスを崩した。
もし頭に来たからといって、
ぶん殴ってしまえば、
ヤツよりも重い罪に問われてしまう。
しかし、あいつも
20メートル以上離れたところから
息を吹かれたとは、夢にも思わんやろ」
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息矢の達人 |
「あのような無礼な男は、
許せませんからね」 |
北小岩 |
「そうだったのですか。
ありがとうございました!
すさまじい破壊力ですね。
息矢は他にどのような時に
使われるのですか」 |
息矢の達人 |
「例えば電車で
お年寄りを押しのけて席に座る
たわけを発見した時には、
そいつが座るシートに、
太く長い息を吹きました」 |
小林 |
「なるほどな。
電車の席のつなぎ目に座ると、
ケツが左右に分かれてしまう感じがして、
不快な気分に襲われることがある。
達人は無礼者の
ケツの割れ目にくるように、
太いつなぎ目を息で作ったんやな」
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息矢の達人 |
「男は肛門を開かれる形で
座り続けたために、
しまいに便意をもよおし、
もらしていたようです」 |
北小岩 |
「さすがでございます!」 |
衣食足りて礼節を知る。
だが、衣食が過剰とさえいえる日本の現状はどうか。
男女を問わず、礼を失した人が
増えている気がしてならない。
そんな人々を懲らしめるには、息矢が有効であろう。
みんな、習ってみようか!
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