「カラカラカラ〜ン!
おめでとうございます!!」
「でかしたっ!」
今朝方、弟子が門前を掃除していると、
紙切れが箒にはさまった。
誰かがケツを拭いた紙かもしれぬと身構えたが、
さにあらず。
商店街の福引券であった。
さっそく福引所に赴き、
一等をとらなきゃ指浣腸するで!
という師のプレッシャーをはねのけ、
弟子は温泉・地獄めぐり(二人分)のチケットを
見事手中に収めたのだ。
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北小岩 |
「温泉は久しぶりでございますね」 |
小林 |
「ああ。
特に今回、
あまりにも有名な地獄めぐりや。
命の洗濯にはもってこいやで」 |
出発当日、二人は東京ぼん太のような風呂敷を背負い、
集合場所にトーテムポールのように立っていた。
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小林 |
「俺も初めてなんやが、
地獄めぐりはかなりエグイ。
血の池地獄、龍巻地獄・・・。
後学のために、体験しとくべきやろ」 |
二人を乗せたバスは、
10キロほど先の万所山(まんどころやま)の奥へと
分け入っていった。
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運転手 |
「着きましたよ」 |
北小岩 |
「あれっ?
わたくし、あまり詳しくございませんが、
あまりに近すぎませんか?」 |
小林 |
「そんな気もするが、
細かいことは言わんとこ」 |
先生と弟子は、
ちんちん型の矢印に従い、進んでいった。
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小林 |
「まず一つ目の地獄やな」 |
そこには陰毛のような文字で、
『毛地獄』と書かれていた。
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北小岩 |
「聞いたことのない地獄でございますね」 |
小林 |
「そやな。
結構ぬるいわ」 |
二人は服を脱ぎ、温泉に浸かった。
すると岩の間から渦が巻き起こり、
二匹のすっぽんが躍り出た。
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小林 |
「やばい!
局部を隠せ!
食いつかれたらしまいやで!!」 |
だが、すっぽんが狙ったのは如意棒ではなく、
下の毛だった。
二人の毛に噛み付くと、凄まじい勢いで泳ぎ始めた。
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小林 |
「うお〜っ!」 |
もちろんすっぽんは、雷が鳴るまで放さない。
ビリビリビリ!
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北小岩 |
「ぎょえ〜!!」
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毛の付け根に、雷のような激痛が走った。
二人の陰毛は無残にも引き抜かれてしまい、
どでかい10円ハゲのようになってしまった。
あまりの痛さに温泉を飛び出したのだが、
そこは次の地獄『穴地獄』であった。
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北小岩 |
「なんでしょうか、
この気泡は?」 |
気泡は二人に近づくと、
急に速度を上げケツの穴に入ってしまった。
ぷ〜っ!
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小林 |
「しまった!
今のは屁の泡だったんや。
肛門の奥で、屁が破裂してしもうた」 |
北小岩 |
「ぎょぎょぎょぎょご〜〜〜。
体の中で屁をされることほど、
気持ちの悪いことはございませ〜〜〜ん」 |
お尻の穴を押さえながら逃げ出すと。
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小林 |
「今度は何や?」 |
北小岩 |
「玉地獄と書かれております。
しかし、
普通の温泉のようでございますね」 |
小林 |
「そうか。
やっと天国にたどり着いたようやな」 |
しかし、油断は金玉。
いや、油断は禁物である。
玉のまわりの温度が急激に上昇したのだ。
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小林 |
「あかん!
温泉といえば温泉玉子やが、
このままでは金玉が
温泉金玉子にされてしまう!」
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そう。
玉地獄というのは、金玉の中身が固められ、
その周りは軟らかくされてしまう
恐るべき地獄なのだ。
二人はその後も
蟻の門渡りをほどかれてしまう『蟻地獄』、
竿に竹のような節をつけられてしまう『竿地獄』などを、
強引に巡らされてしまった。
世の中には、いろいろな地獄があって、
下半身を狙っているものなんですね。
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