北小岩 |
「My butthole is very big.
My cock is not so long.」 |
朝早くから、弟子が英語を音読している。
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北小岩 |
「ふう。
一朝一夕には参りませんね。
やはり言葉と言うものは、
幼少の頃から自然に身につけなければ、
操れないものなのでございましょうか」 |
肩をおとし、深くため息をつく。
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小林 |
「どうや!
まったく進歩しないやろ」 |
弟子の気持ちなど何も考えていない先生の登場である。
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北小岩 |
「ええ。
おっしゃる通りでございます」 |
小林 |
「まあ、独学で語学をマスターするのは
至難の業や。
そこで、お前に
エクセレントなティーチャーを
紹介してやろうと思ってな」 |
北小岩 |
「どんな方なのでございますか」 |
小林 |
「バリバリの帰国子女や」 |
北小岩 |
「それほどまでにわたくしのことを
考えてくださるなんて・・・。先生」 |
北小岩くんの目が、みるみる水をたたえた。
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小林 |
「ほな、行ってみよか」 |
先生の友人が、帰国子女の能力を最大限に活用するための
団体を主宰しており、数人紹介されたらしいのだ。
友人には日頃から特上のエロ本を回していたために、
料金は今回特別にロハである。
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小林 |
「面会場所はここやな」 |
二人は団体のオフィスに到着。
ドアを開けるとどこかバタくさい女性が二人、
こちらを凝視していた。
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小林 |
「おなごやないけ。
えかったな。
恥ずかしがらずに
コミュニケーションせなあかんで」 |
先生が背中を押す。
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北小岩 |
「日本女性ではございますが、
母国語は禁じ手にしないと
上達しないでしょう。
ナイス・トゥ・ミーチュ〜」 |
弟子が握手しようとしたその時だった。
女性の手は北小岩くんの手よりも下方に針路をとり、
ちんちんをガッと握り締めた。
先生は気色ばみ。
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小林 |
「俺のかわいい弟子が
真剣に英語を学ぼうとしとるのに、
どういうこっちゃ。
欧米ではそんな挨拶で
会話を始めるんかい!」 |
女性 |
「欧米? ははあ。
帰国子女というと、みんな欧米とか
産油国なんかを思い浮かべるようだけど、
外国はそれだけじゃないのよ。
私が幼少の頃から住んでいたのは、
『ちんちんの国』なの。
英語なんかまったくしゃべれないわ。
だいたい、私は帰国子女じゃなくて、
『帰国痴女』なのよ」 |
小林 |
「帰国痴女やと!
純朴な若者の心を踏みにじりよって!!」
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北小岩 |
「わたくしなら大丈夫ですので、
その方をこれ以上責めないでください。
世界には様々な国があり、
それぞれの文化がございます。
いきなり急所を握る国もございましょう」 |
だが、先生の目は節穴ではない。
弟子の股間がもっこりしていることを、
見逃すはずがない。
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小林 |
「キレイ事並べとるが、
要するに気持ちよかっただけやろ」 |
北小岩 |
「うっ・・・」 |
図星をさされてしまった。
帰国子女・・・。
その言葉から、日本人は英語圏で育った
ネイティブさながらにしゃべれる女性を想像してしまう。
だが、世界は広い。
ちんちんの国もあれば、おならの国もある。
ちなみにもうひとりの女性はおならの国育ちで、
小岩くんの肛門に自分の肛門をつけ、
体内に屁を送り込んできた。
日本は観光立国を目指し、歩を進めようとしている。
この先、大便をもらしそうになり、
道端で肛門を押さえている外人さんに、
英語で正確にレストルームの場所を知らせなければ
大惨事になる、などという場面も想定されるだろう。
帰国子女を師とし、
英語の習得を企てた北小岩くんであったが、
もがけばもがくほど
目標から遠ざかってしまうのであった。
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