KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百拾六・・・帰国子女

北小岩 「My butthole is very big.
    My cock is not so long.」

朝早くから、弟子が英語を音読している。

北小岩 「ふう。
 一朝一夕には参りませんね。
 やはり言葉と言うものは、
 幼少の頃から自然に身につけなければ、
 操れないものなのでございましょうか」

肩をおとし、深くため息をつく。

小林 「どうや!
 まったく進歩しないやろ」

弟子の気持ちなど何も考えていない先生の登場である。

北小岩 「ええ。
 おっしゃる通りでございます」
小林 「まあ、独学で語学をマスターするのは
 至難の業や。
 そこで、お前に
 エクセレントなティーチャーを
 紹介してやろうと思ってな」
北小岩 「どんな方なのでございますか」
小林 「バリバリの帰国子女や」
北小岩 「それほどまでにわたくしのことを
 考えてくださるなんて・・・。先生」


北小岩くんの目が、みるみる水をたたえた。

小林 「ほな、行ってみよか」

先生の友人が、帰国子女の能力を最大限に活用するための
団体を主宰しており、数人紹介されたらしいのだ。
友人には日頃から特上のエロ本を回していたために、
料金は今回特別にロハである。

小林 「面会場所はここやな」

二人は団体のオフィスに到着。
ドアを開けるとどこかバタくさい女性が二人、
こちらを凝視していた。

小林 「おなごやないけ。
 えかったな。
 恥ずかしがらずに
 コミュニケーションせなあかんで」

先生が背中を押す。

北小岩 「日本女性ではございますが、
 母国語は禁じ手にしないと
 上達しないでしょう。
 ナイス・トゥ・ミーチュ〜」

弟子が握手しようとしたその時だった。
女性の手は北小岩くんの手よりも下方に針路をとり、
ちんちんをガッと握り締めた。
先生は気色ばみ。

小林 「俺のかわいい弟子が
 真剣に英語を学ぼうとしとるのに、
 どういうこっちゃ。
 欧米ではそんな挨拶で
 会話を始めるんかい!」
女性 「欧米? ははあ。
 帰国子女というと、みんな欧米とか
 産油国なんかを思い浮かべるようだけど、
 外国はそれだけじゃないのよ。
 私が幼少の頃から住んでいたのは、
 『ちんちんの国』なの。
 英語なんかまったくしゃべれないわ。
 だいたい、私は帰国子女じゃなくて、
 『帰国痴女』なのよ」
小林 「帰国痴女やと!
 純朴な若者の心を踏みにじりよって!!」

北小岩 「わたくしなら大丈夫ですので、
 その方をこれ以上責めないでください。
 世界には様々な国があり、
 それぞれの文化がございます。
 いきなり急所を握る国もございましょう」

だが、先生の目は節穴ではない。
弟子の股間がもっこりしていることを、
見逃すはずがない。

小林 「キレイ事並べとるが、
 要するに気持ちよかっただけやろ」
北小岩 「うっ・・・」

図星をさされてしまった。

帰国子女・・・。
その言葉から、日本人は英語圏で育った
ネイティブさながらにしゃべれる女性を想像してしまう。
だが、世界は広い。
ちんちんの国もあれば、おならの国もある。
ちなみにもうひとりの女性はおならの国育ちで、
小岩くんの肛門に自分の肛門をつけ、
体内に屁を送り込んできた。

日本は観光立国を目指し、歩を進めようとしている。
この先、大便をもらしそうになり、
道端で肛門を押さえている外人さんに、
英語で正確にレストルームの場所を知らせなければ
大惨事になる、などという場面も想定されるだろう。
帰国子女を師とし、
英語の習得を企てた北小岩くんであったが、
もがけばもがくほど
目標から遠ざかってしまうのであった。
 

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2008-11-23-SUN

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