KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百拾七・・・紅葉

♪ 先生のポコはつつましい〜
  もみじ一枚で隠れちゃう〜
  先生の玉は小玉だよ〜
  ぎんなんみたいな大きささ〜

弟子はいつになくゴキゲンなようで、
近所のガキどもが師をおちょくる時に唄う歌を
口ずさみながら帰宅した。

北小岩 「♪ 大きささ〜。
 むっ、これは何でございましょうか?」

外出時には無かったはず。
だが、門に長い半紙が貼られている。

北小岩 「観楓会会場?
 観楓会というのは、
 紅葉を鑑賞する会でございますね。
 はて、この家のモミジは、
 先生の古くからの友人が遊びに来るたびに
 小便をかけたために、
 枯れてしまったはず。
 なのになぜ? う〜む。
 これはすぐにお知らせせねば」

弟子はナンバ走りで家に突入。

北小岩 「たいへんです。
 門のところに、卑猥で稚拙で
 薄汚く妙に感じの悪い文字で、
 ここがさも何かの会場であるかの如く
 記されておりました!」
小林 「随分ボロくそに言ってくれるな。
 あれは書道二段の俺の書や!!」

先生は小学生の頃お習字に通っており、
いるだけで段位が上がっていくという
甘ちゃんな教室だったので、
腐りかけた文字しか書けないのに二段なのである。

北小岩 「それは失礼いたしました。
 しかし、この家のモミジは
 もう十年近くも前に
 枯れてしまったではありませんか。
 なぜ観楓会ができるのでございますか?」

チンチリリーン。

小林 「来たな。
 まあ、そこに座っとれ」

客人が笑みを浮かべて部屋に入ってきた。

風流
さんA
「やあ、先生。一年ぶりですね」
風流
さんB
「今年もほどよく色づいてますよ」
北小岩 「初めまして。
 わたしく、弟子の北小岩と申します。
 とはいうものの、今日の会、
 趣向がまったく
 理解できないのでございますが」
小林 「世に己を風流人と勘違いしている輩は
 数多かれど、
 真に風流を体現しているといえば
 この方々をおいて他にないんや。
 ではさっそく、酒を酌み交わしつつ、
 鑑賞しまひょ〜」

先生は押入れから迷酒『女体山』を取り出し、
客人のお猪口に注いだ。

風流A 「それでは私が
 露払いをつとめさせていただきます」

彼のズボンの前方、
社会の窓の部分は本当の窓のようになっている。
そこを開けると陰毛が飛び出してきた。

北小岩 「お毛けが赤く染まっております!」
小林 「そうや。
 毛にペンキを塗ったわけやないで。
 Aさんは常々、
 風流は愛でるだけのものにあらず。
 まず、
 自分が風流であることが大事と思っていた。
 来る日も来る日もな。
 そしたら体が変異を起こし、
 毎年この時期になると
 陰毛が紅葉するようになったんや」
北小岩 「なんと!」

小林 「Bさんはさらに上を行くで」

B氏がズボンに装着された戸を引くと、
それぞれの玉金が、
片方は赤く、もう片方は黄色に色づいていた。

北小岩 「鮮やかな紅葉と黄葉、
 いや、紅玉に黄玉!!
 見事なような、そうではないような」
小林 「そこは割り切らねばならんな。
 もう一人、まだ到着しておらんが、
 その方は普段はケツの穴が菊の形なのに、
 12月近くになると
 穴がモミジ形になるんや。
 それも腫上がったように赤くな」
北小岩 「その鑑賞につきましては、
 わたくし、
 ご遠慮させていただきとうございます」


寒い国から南下してきた紅葉前線。
今、東京でも赤と黄が華麗に競演し、
人々の目を楽しませてくれている。
しかし、観るだけでは飽き足らずに自分が紅葉する男も、
日本には存在するのだ。
風流の度が過ぎてしまったといっても
過言ではない男たち。
その事実だけは、頭の片隅に・・・
おいておかない方がいいですね。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2008-11-30-SUN

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