KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百弐拾伍・・・熱い男

北小岩 「さくさくして、
 気持ちいいでございますね」
小林 「そうや。
 足の裏がカキ氷を食っているような
 感触やな」

先生と弟子は、霜柱を踏みつつすり足することを、
冬第一の楽しみにしていた。

「Crouch and hold!」

「engage!」

ガッ! ズザザザ!!

小林 「おっ、やっとるな!」

町唯一のラグビーチームが、スクラムの練習をしている。
スクラムハーフが蹴ったボールがチャージされ、
ラインを割った。

北小岩 「こちらに転がってまいります」
小林 「俺も若い頃、
 体育の授業でならしたことがある。
 まあ、見ておけ」

先生は不規則なボールの動きに対応できずに後逸。
その上、ドロップキックしようとしてから蹴りし、
股関節が鈍い音を立てると同時に、
その場に崩れた。

小林 「まっ、股が〜〜〜〜〜〜」
ラガー
マン
「大丈夫ですか?」
小林 「あっ、ああ。
 俺の股間のボールがでかすぎて、
 バランスを崩してしまったわ。
 なんてことないわ」
ラガー
マン
「よかった。
 心配しましたよ」
北小岩 「いつも練習ご苦労様でございます。
 みなさま、ほんとに熱い方々ですね」
小林 「そうやな。
 君らを見ていると青春時代を思い出すわ」
ラガー
マン
「私たちが熱い?
 そんなおこがましい」
小林 「謙遜なんて、しなくてええぞ」
ラガー
マン
「いえいえ、めっそうもない。
 本当に熱い男は、
 あそこの巨大な杉の木のある家に
 住んでいる、熱杉さんという方ですよ」

上には上を行く男がいる。
二人はすぐに会いたい衝動を抑えきれずに、
訪ねることにした。
といっても、先生は弟子におんぶされてだが。

北小岩 「こんにちは。
 実はラガーマンに」
熱杉 「今、いいところだから
 勝手に入って」

男は映画『マリリンに逢いたい』を鑑賞しているようだ。

熱杉 「オスのワンちゃん、
 シロがマリリンに逢うために
 海を渡って・・・。うっうっ」

感極まって、頬を濡らしているようだ。

熱杉 「あっ、あち〜〜〜〜〜〜〜!」
北小岩 「大丈夫でございますか?」

熱杉氏は流しまで猛ダッシュ。
必死の形相で顔を洗った。

小林&
北小岩
「?」

熱杉 「ふう。
 おっ、顔を流したら尿意が」

股間を押さえながらトイレに駆け込んだ
熱杉氏だったが。

熱杉 「あち〜〜〜〜〜、
 ちんちんが〜〜〜〜〜」

再び叫び声を上げる。

北小岩 「もしかすると熱杉さんは」
小林 「間違いないな」

そう。
熱杉氏の体内から放出される水分は、
沸騰しているようなのだ。
涙を流しては顔を火傷しそうになり、
小便をしては熱でちんちんの機能を失いそうになる。
ラガーマンの言うことはこのことであった。
人間はまだまだ奥が深い、といわざるを得ないであろう。
 

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「小林秀雄さんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2009-01-25-SUN

BACK
戻る