「グウォホゥ! グウォホゥ!
グウォホゥ! グウォホ〜〜〜〜〜〜ン!」
通りすがりの男が激しく咳き込んだ。
風邪かインフルエンザか。
「せーの、うっ!」
感染を極度に恐れる北小岩くんは、
即座に息を止め、飛沫が及ばないよう
30メートル先まで小走りした。
|
北小岩 |
「ここまでくれば大丈夫でございましょう。
ふ〜〜〜〜う、
深呼吸でございます」。 |
「ぷ〜〜〜っ!」
|
北小岩 |
「うげっ!」 |
前にいたおっさんが強烈な屁をこき、
北小岩くんは深い呼吸とともに、
忌まわしい気体を肺の奥まで吸い込んでしまった。
|
北小岩 |
「ゲホイ! ゲホイ!
匂いの無間地獄を味わいました。
それにしても、
道行くレディは必ずといってよいほど
マスクをしております。
それも、普通のマスクとは
一味違う気がいたします。
むっ、
あんなところにマスク屋さんが!」 |
前にいたおっさんが強烈な屁をこき、
北小岩くんは深い呼吸とともに、
忌まわしい気体を肺の奥まで吸い込んでしまった。
|
北小岩 |
「みなさん、あそこから
出てくるようでございます。
小林先生にも報告しなければなりません。
とにかく、突入してみましょう」 |
弟子は、ももあげをしながら、店に入っていった。
|
北小岩 |
「はっ、
思いの他美しい方が多いでございます」 |
体の線を強調した服に身を包んだスレンダー美人たちが、
一風変わった試着室を利用している。
|
北小岩 |
「不思議な光景でございます」
|
中に入ってカーテンやドアを閉めて着替えるのではなく、
箱に顔だけを入れて試着するのだ。
|
|
|
北小岩 |
「あっ、出てきました」 |
女性は薄ピンクのパンティ型のマスクをつけている。
|
女性A |
「もう少し、
フィット感があったほうがいいわね」 |
女性がマスクを少しずらすと、
濡れた唇がパンティ型マスクから覗いた。
|
北小岩 |
「セクシーでございます。
わたくし、
思わず反応してしまいました」 |
他の試着室から、別の女性が顔を出した。
|
女性B |
「私、お口を使ったプレイが得意だから、
これにするわ」 |
北小岩 |
「?」 |
口店長 |
「あのマスクは、
中で唇を丸い形にすると、
マスクのその部分に穴ができるのです。
つまりマスクを取らずに、
棒状のものを口に含むことができます。
言うなれば、
穴つきパンティのようなものでしょうか」 |
北小岩 |
「それではウィルスの侵入を
ゆるしてしまうのではないですか」 |
口店長 |
「大丈夫ですよ。
通常は超密着構造で、
プリーツ加工のため、
ウィルスを含んだ飛沫は
ほぼ百パーセントカットできます。
穴つきマスクの最先端といっても
過言ではないでしょう」
|
そんなものに最先端技術を使って、
どうするというのだろう。
という疑問はあるが、
インフルエンザが各県で猛威をふるっているのは事実。
みなさまも特に混雑した電車などに乗る際には、
くれぐれもお忘れなく。
(注・・・穴つきである必要はありません)
|