KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百参拾七・・・ゴルフ

「いかがですか。先生もそろそろ、
 セレブの仲間入りをされたら」

今日の来客は、紳士然としているものの
どこか胡散臭い男。
りっぱな髭をたくわえているようだが、
その縮れ具合から、
陰毛を植毛したものであることが推察される。

小林 「そっ、そうかいな」
陰毛
紳士
「そうですよ。
 何かスポーツはされてますか」
小林 「ほとんど毎日オナ・・・。
 いや、
 近頃は乗馬もとんとごぶさたやな」

もちろん、乗馬などできるはずはない。
先に言おうとした、オナは本当であろう。

陰毛
紳士
「ゴルフの方は?」
小林 「名門コースが会員になってくれと
 しつこいんやが、
 断り続けとるんや」

そんなことはない。
誘われるとしても名門ではなく、肛門コースが関の山だ。

陰毛
紳士
「それはもったいない。
 そうだ、
 今から試しにご一緒しませんか」
小林 「ゴルフはなあ。
 もっと体を動かし続ける方が
 性に合っているんやが。
 スポーツとしては、動きが緩慢すぎんか?」
陰毛
紳士
「そんなことはございません。
 ゴルフこそ、
 スポーツ中のスポーツ。
 格闘技と言っても差し支えないでしょう。
 特にご案内するコースは、
 体力、精神力、サバイバル力、
 そして男としての力量が問われます」
小林 「かなり大げさな気もするが、
 食わず嫌いもなんやな。
 いってみるか」

へたれ先生は心臓をばっくんばっくんさせながら、
陰毛紳士の車でゴルフ場へと向かった。

陰毛
紳士
「着きましたよ」
小林 「ちっちゃなコースやな。
ミニゴルフかいな」
陰毛
紳士
「そんな事はございません。
 プレイしてみれば、
 広すぎることがわかります」

掘っ立て小屋みたいなクラブハウスで、
ウェアをわたされる。

小林 「むっ、これは!」

ナイキかと思えばさにあらず。
急所の部分にスウッシュのような
切れ込みが入っているのだ。

陰毛
紳士
「下着を着けずに直接はいてください」

氏の言に従い、コースへ出た。

陰毛
紳士
「では私が見本をお見せします」

パンツ中央から、
猛々しいモノがこんにちはをしている。
腕立て伏せをするような体勢で体をひねり、
勢いをつけたイチモツが
ティーの上のボールにヒットした。

キャ
ディー
「あは〜〜〜んッ!」

ポンポンポポン!

美形キャディーが歓声をあげ、
自分の股間を鼓のようにたたいた。
次は先生の番だ。
反動をつけ、ナイスショット!のはずが・・・。

小林 「ううぉ〜〜〜〜〜!」

イチモツの硬度に問題があり、
ボールではなくティーにしこたまぶつけてしまった。

陰毛
紳士
「このチンゴルフは、
 特に集中力と精神の統一が勝負です。
 ですから、
 ティーには強い電流を流しています」


プレイを始めてしまうと、
ホールの途中でリタイアすることは許されない。
陰毛紳士は自分のイチモツを、
器用にドライバー、アイアン、パターと使い分け、
パー5のコースをバーディーでまわった。
だが、先生はすぐにバンカーにつかまった。

小林 「砂漠のような雰囲気。
 危険を感じる・・・」

弱肉であるがゆえに勘が鋭い先生。
間髪をいれずに連打してボールを出すと、ジャンプした。
その時だった。
先生のイチモツを小さな昆虫と間違えたサソリが、
襲いかかったのだ。

小林 「やっぱりそうか!
 間一髪やった・・・」

なんと恐ろしいチンゴルフコースであろうか。
池にボールを打ち込んだ際には
浮かんだボールをチンチンであげなければならず、
放たれたピラニアにより致命的な深手を負った。

人生に一度あるかないかの危険な体験を重ね、
先生は紳士よりも30ほど多く打ったものの、
なんとかグリーンへオン。
カップ10センチのところに寄せた。

小林 「ふう。
 やっとこれで終えられる」

それが油断を招いた。
先生は空振り。
勢いあまって自分のゴールデンボールを
カップインしてしまった。

陰毛
紳士
「一番やってはいけないことです!
 罰金です!!」
小林 「罰金?
 俺、ホールイン金保険も入ってへんで」
陰毛
紳士
「罰金と言うのは、罰金玉のことです!」


カップの穴がみるみる縮み、
万力のようにゴールデンボールを締め上げた。
あわれ、先生の玉はぐしゃりと潰れてしまった。

紳士のスポーツと言われるゴルフ。
だがチンゴルフは別物。
危険極まりない競技であることを、
知っておかねばならないであろう。

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2009-04-19-SUN

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