KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百参拾九・・・ゴールデン

にこやかな陽ざしと、爽やかな風。
日本で最も爽やかではない。
といっても過言ではない二人にも、
ゴールデンウイークはやって来た。

小林 「黄金の連休が、俺たちを呼んどるな」
北小岩 「そうでございますね」
小林 「その呼びかけに、
 我々はこたえねばならんな」
北小岩 「もちろんでございます」

とはいえ、時間はあれど金はない。
棒に赤マジックで印をつけて天高く放り上げ、
赤の方角にひたすら歩いてみることにした。

小林 「空気も汚さんし、
 ええ旅になることやろ」

二人が歩いているだけで、
どことなく空気が汚れる。
自動車などでの移動に比べ、
一見かなりエコに思えるが、
そうともいえない気もする。

北小岩 「随分歩きましたね」
小林 「そうやな。
 もうかれこれ、7時間は歩いとるな」

さすがにそれだけ進むと、
どこから出発しようとも、田畑や小さな林など、
いい感じの風景にたどりつくものだ。

北小岩 「あの原っぱ中腹の方々を
 ご覧ください」
小林 「ほほう。
 私たちはゴールデンウイークを
 満喫しているのです、
 と絵に描いたようなヤツらやな。
 もしかすると、
 食い物にもありつけるかもしれん」
北小岩 「草に寝転がって、
 ニワトリをかわいがっている方が
 いらっしゃいます」
小林 「むっ!」

大した能力には恵まれていないが、
勘だけは妙に鋭い先生のセンサーに
何かが反応した。

北小岩 「どうされましたか」
小林 「あの男は
 かわいがっているのではない!
 ニワトリに金玉を
 あたためさせとるんや」

北小岩 「あっ! ほんとうでございます。
 ではあそこで、
 たこ焼きをつくっている方々は」
小林 「たこ焼き器に水を入れ、
 金玉を入浴させとる」
玉男 「よくわかりましたね。
 下で弱〜く焚き火をし、
 湯加減を調整しています。
 言うなれば、金玉専用温泉ですな。
 人肌にすると、気持ちいいんですよ」

北小岩 「あなた方は、
 ゴールデンウイークを
 堪能されているわけでは
 ないのですか?」
玉男 「ゴールデンウイーク?
 私たちの趣向はそうではありません。
 見ての通り
 『ゴールデンボールウイーク』を
 楽しんでいるのです。
 現代では金玉も
 様々なストレスにさらされ、
 日々しわくちゃになって
 生きながらえているのです。
 こんな時にこそ、
 大いに開放させてあげなくちゃ」
小林 「なるほどな。
 以前に比べ、俺のブツも
 表情が険しくなり、
 縮みあがっとる気がするわ」
玉男 「そうなんですよ。
 ですから、癒してあげたり
 自信を持たせてあげたりが
 肝心なんですね」

子供の日には、金玉に小さな兜をかぶらせ、
緒を締めることで戦国武将の気持ちになったり、
金玉をこいのぼりのポール先端の玉に見立て、
大きい真鯉や、
小さい緋鯉をなびかせたりするという。

金玉冬の時代である21世紀。
ゴールデンウイークに
心の洗濯をするだけでなく、
男児はゴールデンボールウイークを設け、
己の金玉に愛を持って過ごすことも、
これからますます重要になってくることであろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2009-05-03-SUN

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