チュンチュン
「こうするのですよ」
バサッ
「すご〜い!」
「さすが北小岩おにいちゃん!」
先生宅の庭には、よくスズメが遊びに来る。
たまに近所のこどもたちも遊びに来る。
幼子(おさなご)にリクエストされ、
北小岩くんはスズメを採ってみせた。
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北小岩 |
「わかりましたか。
竹のかごに棒を立てて隙間を作り、
中にご飯粒をまいておくのです。
スズメさんが食べにきたら、
このひもを引くのでございますね」 |
小林 |
「またやっとるんか。
お前の唯一の特技だからな」 |
こども
A |
「あっ、
小林の宝味おじさんだ!」 |
こども
B |
「ほんとだ!
ボボおじさんだ!」 |
その時、町で唯一
先生に少しだけ興味を持っているという
お嬢さんが通った。
だが呼称を聞くと、苦い顔をした。
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小林 |
「これ、君たち。
何を人聞きの悪いことを。
白馬に乗ったおにいさまと、
訂正しなさい」 |
こども
B |
「やだよ。
ところで、これなあに?」 |
子供は塀のそばにあったエロ本を数冊、
高々と掲げた。
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小林 |
「近頃風が強くて、
どこかから飛んでくるんやな」 |
お嬢さんは白々しい言い訳に侮蔑の態度をとり、
そそくさと去ってしまった。
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小林 |
「ああ。
しゃあないなあ。
夢も希望もなくなったわ」 |
北小岩 |
「夢といえば、近頃の小さいお子たちは、
将来どんな夢を
持っているのでしょうか」 |
小林 |
「俺がガキの頃には、野球選手が一番で、
他には総理大臣とかノーベル賞の博士とか、
あまりリアルじゃないことを
言っとったな」 |
北小岩 |
「そうでございますね。
君たちは、大人になったら
何になろうと思っているのですか」 |
こども
A |
「ぼくたちふたりとも、おんなじなんだ。
ぽじしょんはちがうんだけど」 |
小林 |
「ほほう。
わかったわ。
お前ら、サッカー選手に
なろうと思っとるんやな。
キーパーと、ミッドフィルダーか」 |
こども
B |
「ちがうよ、
ぼくたちうんてんしゅになりたいんだよ」 |
小林 |
「運転手?
何の運転手や?
新幹線か? トラックか?」 |
こども
A |
「ぼくはね、
『おちんちんのうんてんしゅ』に
なりたいんだよ。
おとうさんのビデオをみちゃって、
びっくりしたんだ。
おとこのひとのそのぶぶんがね、
こゆびぐらいにちいさかったのに、
あっというまにこ〜んなになったんだ」
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両手でアンドリアノフのポーズをとる。
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こども
A |
「きっと、どこかにうんてんしゅがいて、
そうさしているんだよ。
すごくはくりょくがあって、
おとこらしいしごとだとおもうんだ」 |
こども
B |
「ぼくはおしりのあなのうんてんしゅ。
きもちよさそうに、
ぴくぴくふくざつにうごかしてて、
おもしろかったの」 |
小林&
北小岩 |
「・・・」
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近頃、夢をもてない若者が増えているという。
だが、この子供たちは、
しっかりと将来へ照準を定めている。
おちんちんの運転手と、お尻の穴の運転手。
それが、果たして夢があるものなのか。
難しい判断になるであろう。
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