KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百四拾壱・・・運転手

チュンチュン

「こうするのですよ」

バサッ

「すご〜い!」

「さすが北小岩おにいちゃん!」

先生宅の庭には、よくスズメが遊びに来る。
たまに近所のこどもたちも遊びに来る。
幼子(おさなご)にリクエストされ、
北小岩くんはスズメを採ってみせた。

北小岩 「わかりましたか。
 竹のかごに棒を立てて隙間を作り、
 中にご飯粒をまいておくのです。
 スズメさんが食べにきたら、
 このひもを引くのでございますね」
小林 「またやっとるんか。
 お前の唯一の特技だからな」
こども
A
「あっ、
 小林の宝味おじさんだ!」
こども
B
「ほんとだ!
 ボボおじさんだ!」

その時、町で唯一
先生に少しだけ興味を持っているという
お嬢さんが通った。
だが呼称を聞くと、苦い顔をした。

小林 「これ、君たち。
 何を人聞きの悪いことを。
 白馬に乗ったおにいさまと、
 訂正しなさい」
こども
B
「やだよ。
 ところで、これなあに?」

子供は塀のそばにあったエロ本を数冊、
高々と掲げた。

小林 「近頃風が強くて、
 どこかから飛んでくるんやな」

お嬢さんは白々しい言い訳に侮蔑の態度をとり、
そそくさと去ってしまった。

小林 「ああ。
 しゃあないなあ。
 夢も希望もなくなったわ」
北小岩 「夢といえば、近頃の小さいお子たちは、
 将来どんな夢を
 持っているのでしょうか」
小林 「俺がガキの頃には、野球選手が一番で、
 他には総理大臣とかノーベル賞の博士とか、
 あまりリアルじゃないことを
 言っとったな」
北小岩 「そうでございますね。
 君たちは、大人になったら
 何になろうと思っているのですか」
こども
A
「ぼくたちふたりとも、おんなじなんだ。
 ぽじしょんはちがうんだけど」
小林 「ほほう。
 わかったわ。
 お前ら、サッカー選手に
 なろうと思っとるんやな。
 キーパーと、ミッドフィルダーか」
こども
B
「ちがうよ、
 ぼくたちうんてんしゅになりたいんだよ」
小林 「運転手?
 何の運転手や?
 新幹線か? トラックか?」
こども
A
「ぼくはね、
 『おちんちんのうんてんしゅ』に
 なりたいんだよ。
 おとうさんのビデオをみちゃって、
 びっくりしたんだ。
 おとこのひとのそのぶぶんがね、
 こゆびぐらいにちいさかったのに、
 あっというまにこ〜んなになったんだ」


両手でアンドリアノフのポーズをとる。

こども
A
「きっと、どこかにうんてんしゅがいて、
 そうさしているんだよ。
 すごくはくりょくがあって、
 おとこらしいしごとだとおもうんだ」
こども
B
「ぼくはおしりのあなのうんてんしゅ。
 きもちよさそうに、
 ぴくぴくふくざつにうごかしてて、
 おもしろかったの」
小林&
北小岩
「・・・」


近頃、夢をもてない若者が増えているという。
だが、この子供たちは、
しっかりと将来へ照準を定めている。
おちんちんの運転手と、お尻の穴の運転手。
それが、果たして夢があるものなのか。
難しい判断になるであろう。

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2009-05-17-SUN

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