北小岩 |
「おや?」 |
門柱の上に、巨大な蟹のフィギアが置かれている。
爪には薄汚れた紙が一枚。
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小林 |
「なんや?
ちん毛蟹でも届いたんか」 |
そんなおぞましいものは、考えたくもない。
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北小岩 |
「何かの懸賞に応募されましたか」 |
小林 |
「以前、どスケベなヤツに誘われて
女体にこにこツアーに応募したが、
当たったんかい」 |
北小岩 |
「いえ、これは別物ですね。
蟹子島(かにがしま)の
ツアーでございます」 |
小林 |
「蟹子島?
そんな島聞いたことないわな。
ぎょうさん、毛蟹でも食わせてくれるんか」 |
北小岩 |
「そうかもしれないです」 |
とにかく当たったのだからということで、
参加してみることにした。
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北小岩 |
「やっと港が見えてまいりました」 |
小林 |
「さすがに8時間歩き通すと、
膝がゲラゲラするわな」 |
万年金欠コンビの先生と弟子なので、
集合場所まで歩いてきたのだ。
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北小岩 |
「あそこでございます」 |
おんぼろ舟が一艘、波間をぶらぶら漂っていた。
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蟹子島
の人 |
「ようこそ、蟹子島ツアーへ。
各自、これをつけてください」 |
突然、蟹型の浮き輪を装着させられた。
蟹に申し訳ないほど、まぬけな格好だ。
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蟹子島
の人 |
「では、いくカニ」
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脱力するダジャレをかまし、
島の人は舟を手繰り寄せて二人を乗せると、
オールを漕ぎ出した。
10時間はたっただろうか。
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蟹子島
の人 |
「着きました」 |
小林 |
「むっ!」 |
酔ってげんなりしていた阿呆二人衆だったが、
砂浜を見てカッと目を見開いた。
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小林 |
「あそこのギャル、全裸やんけ!」 |
蟹子島
の人 |
「よ〜く見てください」 |
目をこらすと確かに全裸ではない。
上はニプレス、下は前バリをつけていた。
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北小岩 |
「どういうことでしょう」 |
別の
ギャル |
「きゃ〜!!」 |
悲鳴の方に目をやると。
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小林&
北小岩 |
「うおっ!」 |
巨大なエロ蟹がギャルのビキニの紐を、
上下とも大きなハサミで切っているのだ。
顔を赤らめ胸と秘所を手で隠すギャルのほうに、
「前バリ&ニプレス」というのぼりを立てた、
通称前バリ屋さんが近づき、
法外な値段で売りつける。
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北小岩 |
「こんな漫画みたいな光景が、
実際に存在するのですね」 |
小林 |
「ああ。
夢を見ているようや」
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先生は夢遊病者のように、ギャルに近づいていく。
もちろん、股間だけは夢を見ずにもっこりしている。
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蟹子島
の人 |
「危険です!」 |
この島の蟹は、楽しみでビキニを切っているのだが、
立っている棒状のものには不快感をしめし、
これまたチョッキンしようとするのだ。
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小林 |
「うおっ!」 |
阿呆な師は、あまりのことに覚醒し、
すんでのところでチョッキンは免れた。
だが、自称自慢のイチモツは、
ずたぼろになってしまった。
現実のものとは思えないほどしょうもない蟹子島。
機会があったら、ぜひ一度。
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