小林 |
「俺たちを、今までの俺たちと思って、
ナメてもらっては困るわな」 |
北小岩 |
「ナメていいのは、あそこだけ」 |
小林&
北小岩 |
「わはははははは!」 |
いつもはみすぼらしい二人だが、
今日に限って凛々しくみえる。
この日のために、髭もたくわえた。
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小林 |
「正直言ってしまえば、
俺は一生株主になることはないと
思ってたんや」 |
追い風はどこから吹くかわからない。
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北小岩 |
「先生の人脈のなせる業でございます」 |
師弟はボロ市で購入した
1着200円也の背広で決めている。
ネクタイを買うお金はなかったので、
代わりに昆布をつけている。
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北小岩 |
「緊張いたしますね」 |
これから出席するのは、株主総会なのである。
先生のエロ本友だちに某会社の代表がいる。
なぜか意気投合し、二人はほんのわずかであるが
株を譲り受けたのである。
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小林 |
「総会と言えば
総会屋のイメージがあるが、
実際にはおだやかそうな
お年寄りが多数やな」 |
北小岩 |
「平日朝ですしね。
あっ、入口でおみやげを配っております」 |
小さな箱と株主出席票を渡され、
第一会議室に通された。
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北小岩 |
「わたくしたちも
発言できるようでございます。
『ご発言の際、男性はお名前と票の番号、
そしてイチモツのサイズをお知らせ下さい』
と書いてあります」 |
壇上には議長である、
締まりのよい女性を愛する
代表取締役珍高(ちんこう)氏をはじめ、
ずらりと取締役が並んでいる。
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珍高議長 |
「おはようございます。
本日は今期の事業報告を行い、
決議事項につきまして、
議決権をお持ちの6969名により、
採決させていただきます。
事業報告につきましては、
ビデオにてご覧いただきます」 |
超ミニボディコンの社員がモニターをセット。
前かがみになるとスカートの奥が見えるのだが、
最前列の男が鼻血を出したところを見ると、
どうやらノーパンらしい。
ビデオ内容は、ここには記せない
猥褻な場面が多すぎるので、割愛させていただく。
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珍高議長 |
「事業の経過、及びその成果ですが、
イチモツの満足度を最大限にあげ、
効率的な事業活動を行い、
利益率の向上に努めてまいりました。
しかし、昨今の不況により、
世の中では社員等のカットが
行われておりますが、
私たちの世界でも
顧客の下半身予算削減によって
エロにかけるお金が
数%〜数十%カットされ、
その影響はどっくんどっくんと
打ち寄せております。
よって今期、売り上げは6.9%減少。
赤字決算に陥りましたことを
お詫び申し上げます。
では、質疑応答にうつらせていただきます。
どうぞ」 |
質問者A |
「108番の黒棒と申します。
Pサイズは11センチです。
コンプライアンスについては、
どうお考えですか」 |
珍高議長 |
「おこたえいたします。
法令ギリギリのところを狙い、
またさりげなく法令を超えることで、
今までより興奮度の高いエロを
提供してまいります」 |
質問者B |
「69番の粗陳です。
Pサイズは4センチ。
エロの世界も
社会に貢献していくべき時代に入っていると
思いますが、いかがですか」
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珍高議長 |
「おこたえいたします。
私どもは、エロコンテンツはもちろん、
スキンの販売にも力を入れております。
実は私どものスキンは、
さりげなく100個につき1個
針で穴を開けているのです。
できちゃった結婚を促進し、
少子化防止を進めております」 |
「いっ、いや〜ん!」
その時、後方から思わずそそられる艶っぽい声が響いた。
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小林 |
「もしや、
早くもおみやげを使用したのでは」 |
図星であった。
女性は入口でもらった箱をあけ、
我慢できずに肥後ずいきを使ってしまったのだ。
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珍高議長 |
「え〜、
お楽しみのところ
大変恐縮ではございますが、
続けさせていただきます」 |
質問者C |
「1919番の起無(たたない)と申します。
Pサイズは8センチです。
高齢化社会を迎え、
御社の課題のひとつは、
私のように数年に一度しか
臨戦態勢にならない年寄りに
楽しみを与えること。
私たちを起ててこそ
一流と言えるでしょう。
しかし、御社の作品では、
まだ微動だにしないのですが」 |
すかさずコンパニオンが近づき、
下半身にみだらな攻撃を仕掛ける。
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質問者C |
「いっ、今の質問は取り下げます〜〜〜」 |
珍高議長 |
「では質問がなければ、
採決にうつらせていただきます」 |
質問者D |
「ちょっと待った。
6969番の太巻だ。
Pサイズ22センチ。
配当が固定で1円というのは」 |
男は今までの質問者とは違った、
サングラスの強面だった。
間髪をいれずにコンパニオンが近づき、
太巻氏をひな壇下の回転ベッドに乗せた。
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質問者D |
「何か気持ちいいことでもあるのか」 |
珍高議長が目配せすると、
コンパニオンがベッドの回転速度を速めた。
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質問者D |
「話に戻るけど、
1円なんていくらなんでも低・・・。
うっ、うわ〜〜〜」
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この会社の総会では、
自分たちにマイナスになる人物は
回転ベッドで高速回転させ、
質問できなくするらしい。
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珍高議長 |
「それでは採決にうつらせていただきます。
原案にご賛成いただけますね。
では賛成多数で
本議案は承認可決されました!」 |
パチパチパチパチパチパチ
パチパチパチパチパチパチ
先生と弟子が株主になり、
勇んで参加した総会。
会社が会社だけに、猥雑なものであった。
だが、この株がどうなろうと、
世の中の大勢には何の影響ももたらさないであろう。
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