KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百伍拾参・・・抜け殻

ミーンミンミン

「ミンミンゼミでございますね。
 気持ちのよい夏の日です。ふゎぁ〜」

桜の木陰で深呼吸したのは、弟子の北小岩くんであった。

シャーッ

「うわあ〜!」

カバのように大きく開けた口で、
セミのおしっこを飲んでしまったのも、
やはり弟子の北小岩くんであった。

北小岩 「無礼でございます!
 引っかけるならまだしも、
 飲尿させられてしまうとは」

地団駄を踏んだ足元を見ると、
そこにはセミの抜け殻が落ちていた。

北小岩 「仕方ございません。
 セミさんもずっと土の中にいたのですから、
 気持ちよく放尿したくもなるでしょう。
 子供の頃には、
 よく抜け殻を集めたものでございます」

ノミが巨大化したような乾き物を
手に取ろうとした弟子の眉間に、稲光が走った。

北小岩 「これはなんでございましょう?」

そばに見慣れない抜け殻が落ちていたのだ。
大きさは約25センチ。
筒状だが、先っぽは丸まっている。

北小岩 「先生に報告せねばなりません」

師のもとへ急行したのだが。

小林 「これは・・・。
 噂に聞いたことはあったが、
 俺の手には負えんな。
 抜け殻博士のところへ行ってみよか」

町はずれの大きな栗の木の下に生息している
博士を尋ねると。

小林 「こちらが魂の抜け殻と呼ばれ、
 いや失礼。
 抜け殻博士と呼ばれとる
 抜毛殻雄(ぬけがらお)はんや」
北小岩 「こんには。
 さっそくなのですが、これをご覧下さい。
 桜の木の下で拾ったのです」
抜毛殻雄 「大変珍しいものを拾いましたな」
北小岩 「と申しますと」
抜毛殻雄 「これは、おちんちんの抜け殻です」
北小岩 「そんなものが
 この世に存在するのですか!」

抜毛殻雄 「並の人には関係ありません。
 せいぜい中学生の時、
 その部分にやや脱皮に似た症状が
 起こったぐらいでしょう。
 しかし、
 30センチを超えるモノの持ち主となると、
 話しは変わってきます。
 何度も何度も脱皮を繰り返して、
 あの大きさに至るのです」
北小岩 「そうなのでございますか!
 洋物のビデオを拝見しておりますと、
 わたくしのモノとは
 別の生き物としか思えないような
 持ち物の方がいらっしゃいますが、
 なるほど、脱皮していたのですね」
抜毛殻雄 「脱皮するのは、
 巨大なイチモツだけではありません。
 度を超した巨乳、
 あれも脱皮を繰り返したものです。
 とにかく
 尋常でない大きさのものを見たら、
 脱皮を疑わねばなりません。
 大仏様も何度も脱皮したはずです。
 どこかに大きな抜け殻があるでしょう。
 エジプトのピラミッドも
 脱皮しています。
 私の友人は、
 パリでピラミッドの抜け殻を見た
 と言ってました」
北小岩 「まさに
 世界の七不思議でございますね!」

そんなことはないだろう。
友人が見たものは、ルーブル美術館の前にある
ガラスのピラミッドに違いない。
だが、アメリカのポルノ男優の股間。
そのツチノコ級のものは、
脱皮を繰り返して巨大化した以外に、
説明はつきませんね。

 

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2009-08-09-SUN

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