KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百伍拾伍・・・夏を惜しむ

小林 「北小岩〜! お〜い、北小岩〜!」

弟子を呼ぶ師の声が響き渡る。

小林 「ここかいな」

便器には、はまっていなかった。

小林 「それともここかいな」

箪笥と壁のすき間にも、挟まってなかった。

小林 「へんやなあ」

庭に目をやると。
小林 「お前、何しとるんや!」

巨大な虫捕り網の中に入り、地面に転がっていた。

北小岩 「実はわたくし、
 夏の終わりが近づきますと、
 切なくなってしまうのでございます。
 それで夏のひとこまを
 体現しておこうと思いまして、
 網に捕らえられておりました」
小林 「なるほどな。
 だが、俺の友人には、
 もっと年季が入ったヤツがおる。
 行ってみよか」

二人は涼を楽しみつつ訪れようと思い、
氷屋さんからもらった板状の氷で作った
下駄を履いたのだが、
あまりの冷たさに耐え切れず、
途中から裸足になった。

小林 「直糞を踏むような、
 アホアホなことは避けるんやで。
 むっ、しまった!」

言ったそばから巨大なブツを踏み抜いてしまった、
アホアホ先生であった。

小林 「糞もついたが、とにかく着いたわ」

門からのぞくと、夏を体現する男は上半身裸で、
庭で仰向けになっていた。
北小岩 「あの股間は!」

テント型パンツを履いているのだが、
イチモツの力で立派にテントが
張り切った状態になっているのだ。

小林 「夏といえばキャンプやからな。
 見事な形で張らせ続けるために、
 新鮮なエロ本を
 何時間も読み続けとるんや」
北小岩 「そうでございますか」


しばらくすると夏を体現する男は、
テントを脱いだ。
手を伸ばして何かを引き寄せると、
玉金のそばにセットした。

小林 「鹿(しし)おどしやな」

夏を体現する男が竹に向かって放尿すると、
すぐに傾き始めた。

コーン

竹が玉金に当たって、風流な音を立てた。

小林 「いい音させるために、玉を鍛えとる。
 そして、尿が出続けるように、
 水を飲み続けとるんや」

信じられないことに、
それから数十分コーンコーンは続いた。
しばらくして、鹿おどしをはずすと菊の花を食べ、
瞑想に入った。

 
北小岩 「今は何をしているのですか」
小林 「お墓参りやな。
 ヤツの持論はこうや。
 『先祖から脈々と
  受け継がれてきたもので、
  俺の体はできている。
  先祖は墓ではなく、
  俺の体の中にいる。
  だから、自分の体の中に、
  お墓参りに行くんだよ〜ん』」
北小岩 「なるへそ。
 今、自分の意識を体に入り込ませ、
 拝んでらっしゃるのですね。
 菊の花はお供えでございます」

夏を体現する男。
彼は長時間裸でいたために、
蚊に二百ケ所以上刺されてしまった。
イチモツは、
ピンクのぶつぶつが浮いた金棒になっている。
蚊に刺されるというのも、
まさに夏そのものであろう。

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2009-08-23-SUN

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