KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百六拾四・・・夢のままで

すう。ニヤニヤ。すう。ニヤニヤ。

一畳間で太の字になって昼寝をしているのは、
馬鹿先生であった。
大の字ではなく太の字なのは、
性夢を見ているからだ。

すう。ニヤニヤ。すう。ニヤニヤ。

パチンッ!

漫画のように鼻提灯が膨らみ、見事に割れた。

小林 「なっ、なんや!
 きっ、北小岩〜」

弟子に助けを求める体たらく。

北小岩 「大丈夫でございます。
 鼻と共に去りぬです。
 それより先生、何か楽しい夢でも
 ご覧になっていたのですか」
小林 「おいしそうに熟したおっぱいに
 顔を近づけたところまではよかった。
 しかし、すんでのところでおっぱいが
 爆発したんや。
 夢の中なんやから、せめて夢をかなえたいと
 思ったんやが。ああ、もったいな」

北小岩 「そうでございますか。
 夢は夢のままの方が、
 よいこともあるようですよ」
小林 「なんやお前。
 悟ったような口ぶりやな」
北小岩 「今から友が遠方より来たるなのですが、
 二人は信じられぬ形で夢をかなえたのです」
小林 「何!
 そんなにええ思いをしたんかい!!」

みるみるうちに、般若の形相にかわった。

北小岩 「ことはそう単純ではないのです。
 彼らはほんとうの意味で
 夢を実現してしまったのです」
小林 「よかったやないけ」
北小岩 「そうとばかりは言えず」
小林 「煮え切らない男やな」

ちんちんち〜ん おちんち〜ん

玄関の戸を開ける音がした。

夢を
かなえた
男A
「おじゃましまん」
小林 「おう!君は何か知らんが
 夢をかなえたそうやな。どういうこっちゃ」
夢を
かなえた
男A
「ずっと憧れていた
 優ちゃんという女の子がいます。
 僕には目もくれませんでした。
 タンクトップになると、
 そのツンとはった胸の美しいこと。
 いつしか優ちゃんのおっぱいになることが、
 僕の夢になっていたのです」
小林 「ほう、それで」
夢を
かなえた
男A
「ある朝目が覚めると、
 僕は優ちゃんの
 おっぱいになっていたのです」
小林 「なんと!」
夢を
かなえた
男A
「積年の夢を現実のものとし、
 僕は幸せでした。
 いつでも一緒。
 愛して止まない人の、
 やわらかなおっぱいになれたのですから」
小林 「それでどした!」
夢を
かなえた
男A
「幸せは長く続きませんでした。
 優ちゃんの彼氏が現れ、
 そいつがプレイボーイのテクニシャンで。
 何とかそいつの攻撃を
 かわそうとしたのですが、
 僕の力で胸を動かせるのは数ミリでした。
 結局ヤツにいいようにやられ・・・。
 それから何度も何度も・・・。
 傷心の僕は、僕に戻ってしまい」
小林 「そうか・・・」

夢を
かなえた
男B
「君はまだましですよ。
 僕には長年恋していた
 さやちゃんという子がいました。
 夢はさやちゃんの
 秘所になることだったのですが、
 ある朝目が覚めると」
小林 「もうええ。
 みなまで言うな・・・」

世の中には信じられない話が数多あるものだ。
しかし、夢は夢のままで、
かなえないほうがよいこともある。
二人の実話は教訓となるであろう。胸に刻みたい。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2009-10-25-SUN

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