すう。ニヤニヤ。すう。ニヤニヤ。
一畳間で太の字になって昼寝をしているのは、
馬鹿先生であった。
大の字ではなく太の字なのは、
性夢を見ているからだ。
すう。ニヤニヤ。すう。ニヤニヤ。
パチンッ!
漫画のように鼻提灯が膨らみ、見事に割れた。
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小林 |
「なっ、なんや!
きっ、北小岩〜」 |
弟子に助けを求める体たらく。
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北小岩 |
「大丈夫でございます。
鼻と共に去りぬです。
それより先生、何か楽しい夢でも
ご覧になっていたのですか」 |
小林 |
「おいしそうに熟したおっぱいに
顔を近づけたところまではよかった。
しかし、すんでのところでおっぱいが
爆発したんや。
夢の中なんやから、せめて夢をかなえたいと
思ったんやが。ああ、もったいな」
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北小岩 |
「そうでございますか。
夢は夢のままの方が、
よいこともあるようですよ」 |
小林 |
「なんやお前。
悟ったような口ぶりやな」 |
北小岩 |
「今から友が遠方より来たるなのですが、
二人は信じられぬ形で夢をかなえたのです」 |
小林 |
「何!
そんなにええ思いをしたんかい!!」 |
みるみるうちに、般若の形相にかわった。
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北小岩 |
「ことはそう単純ではないのです。
彼らはほんとうの意味で
夢を実現してしまったのです」 |
小林 |
「よかったやないけ」 |
北小岩 |
「そうとばかりは言えず」 |
小林 |
「煮え切らない男やな」 |
ちんちんち〜ん おちんち〜ん
玄関の戸を開ける音がした。
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夢を
かなえた
男A |
「おじゃましまん」 |
小林 |
「おう!君は何か知らんが
夢をかなえたそうやな。どういうこっちゃ」 |
夢を
かなえた
男A |
「ずっと憧れていた
優ちゃんという女の子がいます。
僕には目もくれませんでした。
タンクトップになると、
そのツンとはった胸の美しいこと。
いつしか優ちゃんのおっぱいになることが、
僕の夢になっていたのです」 |
小林 |
「ほう、それで」 |
夢を
かなえた
男A |
「ある朝目が覚めると、
僕は優ちゃんの
おっぱいになっていたのです」 |
小林 |
「なんと!」 |
夢を
かなえた
男A |
「積年の夢を現実のものとし、
僕は幸せでした。
いつでも一緒。
愛して止まない人の、
やわらかなおっぱいになれたのですから」 |
小林 |
「それでどした!」 |
夢を
かなえた
男A |
「幸せは長く続きませんでした。
優ちゃんの彼氏が現れ、
そいつがプレイボーイのテクニシャンで。
何とかそいつの攻撃を
かわそうとしたのですが、
僕の力で胸を動かせるのは数ミリでした。
結局ヤツにいいようにやられ・・・。
それから何度も何度も・・・。
傷心の僕は、僕に戻ってしまい」 |
小林 |
「そうか・・・」
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夢を
かなえた
男B |
「君はまだましですよ。
僕には長年恋していた
さやちゃんという子がいました。
夢はさやちゃんの
秘所になることだったのですが、
ある朝目が覚めると」 |
小林 |
「もうええ。
みなまで言うな・・・」 |
世の中には信じられない話が数多あるものだ。
しかし、夢は夢のままで、
かなえないほうがよいこともある。
二人の実話は教訓となるであろう。胸に刻みたい。
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