KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百七拾六・・・雪


「う〜、ちゃぶいでございます」

師弟ともに極度の寒がりであるが、
弟子が殊更震えているのには訳があった。

「初雪でございます。
 足の親指が直接、雪に触れております」

そうなのだ。
彼は同じ靴を十数年履き続けているため、
底が抜けている。
また、靴下も二足しか持っていないので
ローテーションが厳しすぎて、
布の部分より穴の方が大きいのだ。
よって靴下から指が飛び出し、靴からも飛び出し、
裸足で雪上を歩いているのと大差は無い。

「霜焼けになってしまいます」

そこに現れたのが。

小林 「なんや。
 ちんぽを霜焼けにして膨らませ、
 でっかく見せようとしとるんかい」
北小岩 「いえ、先生。
 足の親指が大きく膨らんで」
小林 「お前、親指を使って
 みだらなプレイをしようとしとるんか」

粗大ゴミとして出しても持っていってもらえない
ド阿呆先生のことは放っておこう。

北小岩 「どうせ冷たいのなら、
 雪国でとことん
 味わいたいものでございます」
小林 「ほな行きまひょか〜」

阿呆の決断は早い。
二人は雪国に針路をとった。
ノーマネーなのでヒッチハイク。
しかし、ダウンジャケット等を持っていないので、
防寒用に布団をかぶっての行軍となり、
怪しまれて誰も止まってくれない。
数時間後、ダンプのおにいさんの同情により、
同乗がかなった。

 
北小岩 「どうもありがとうございます」
おにい
さん
「いいってこっちゃ」
北小岩 「おにいさまは、
 雪国の生まれでございますか」
おにい
さん
「おお。
 こちんこちんの雪国っ子ぞ」
北小岩 「今頃、ソリ遊びなど
 なさっているのでございましょうか」
おにい
さん
「みんなやってるぞえ。
 男女で雪に潜ってな」
北小岩 「雪の中で
 ソリができるのでございますか」
おにい
さん
「お前なんか勘違いしてるな。
 おれっちの故郷でソリといえば、
 雪に男女が潜って
 お互いの恥毛を剃りあうことぞな」
小林 「ほほう。
 なかなかええ土地やんけ。
 そんなことをして、興奮せんのか」
おにい
さん
「もちろんするっち。
 雪の中にはカマクラというラブホがある。
 おれっちたちにとっては、
 『いざ鎌倉』とは我慢しきれなくなって
 カマクラに駆けつけることだぞえ。
 行為そのものは、雪合戦と呼ばれるだだ」

北小岩 「そのように寒いところで、
 臨戦態勢になるのでございますか」
おにい
さん
「ならない場合は、雪でイチモツを固める。
 雪が溶けるまでのお楽しみぞ。
 男女が力を合わせて
 尿でハートをつくる、雪尿もええぞ」
北小岩 「わたくし、お話をうかがっているだけで、
 ぶるぶるしてまいりました。
 雪国の方はさすがでございますね」

その土地にはその土地だけの風習がある。
スノードームと言って、
避妊具として雪を用いることもあるという。
トラックのおにいさんは、
かなり独特な国の育ちであることは間違いない。

二人がトラックをおりた後何をしたのか、
それはわからない。
とはいえ、局部が凍傷寸前になり、
ややもすれば切らねばならないほどの
惨状を招いたところを見ると、
ろくでもないことにトライしたことだけは確かであろう。

小林秀雄さんへの激励や感想などは、
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2010-01-17-SUN

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