KOBAYASHI
小林秀雄、あはれといふこと。

しみじみとした趣に満ちた言葉の国日本。
そんな国のいとおもしろき言の葉を一つ一つ採取し、
深く味わい尽くしていく。
それがこの項の主な趣向である。



其の弐百七拾八・・・静電気


ぴゅ〜

北小岩 「ふう、
 玉の奥から冷えますでございます」

隣家のあたり。

「ゆうちゃん、おそとであそぼ」

おともだちを誘っている女の子の声がする。

北小岩 「さすがですね。
 この寒さをものともせず。
 『子供は風の子 大人はきのこ』
 といいますものね」

火の子の間違いであろう。

ゆうちゃんは留守らしい。
女の子は北小岩くんを見つけ、近づいてくる。

女の子 「おじさん、あそぼ」
北小岩 「いいですよ。
 まだわたくし、
 おにいさんでもありますので、
 おにおじさんと呼んでくださいね」
女の子 「うん。
 おにおじさん、わたしすごいんだよ。
 ほらね」

髪を下敷でごしごし。毛を立てて見せた。

北小岩 「うあわ!
 びっくりでございますね。
 あなたは魔法使いの女の子なのですか」
女の子 「そうなの」
小林 「ほほう、静電気やな」

こやつは、常に子供の夢を奪う。

小林 「静電気と言えば凄まじい男がおるで」
女の子 「な〜に?」
北小岩 「あなたはね、
 そろそろお家に帰った方がいいですよ。
 みんな心配しますからね」

師匠がろくでもないことを口走る前に、
よっちゃんイカをみやげに持たせ帰宅させた。

小林 「ほな、行って見るか」

二人はヒゲダンスのポーズで、
町の下半身と呼ばれるラブホ街に進軍した。

北小岩 「この場所と静電気が、
 どのように関係するのでございますか」
小林 「見てみい」

指さす方角に目をやると、
着流しの侍まがいの男が。

侍まがい
の男
「もんもんもんも〜ん!」


フランクフルト状のちょんまげに
巨大な下敷をこすり付けると、
今まさにラブホに
突入しようとしていたカップルに向けた。

侍まがい
の男
「性電気〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

せいの字が間違っているが、
威力は凄まじかった。

北小岩 「あっ、男性の陰毛が
 ズボンから飛び出しました!」
カップル
「うお〜!」
北小岩 「こちらに引き寄せられ、
 生ゴミの山の中へ!
 女性はあまりの汚さに、
 去っていきました」


そう。
侍まがいの男は静電気を起こす達人。
髪を逆立てさせるどころでなく、
陰毛を強引に引き寄せ、
投げ飛ばすことさえできるのだ。

どんなことでも鍛え続ければ、
常人の域を遥かに超える。あっぱれである。

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2010-01-31-SUN

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