「うだだだだ、まだ冷え込みますね」
「ぞうやな」
コートを持っていないため、
ぶるるんぶるるんしながら歩き続ける二人。
どのように暖を取るのかといえば。
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小林 |
「まだまだ握りが足りんようやな」 |
北小岩 |
「はい」 |
小林 |
「ほないくで」 |
小林&
北小岩 |
「むぎょわ〜〜〜〜〜っ!」 |
右手でちんちんをつかみ、
力の限り握りつぶすのである。
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小林 |
「原始的な方法やが、
今の俺たちにはベストや」 |
北小岩 |
「イチモツの芯から
あたたまってくる気がいたします」 |
そこまでして二人が向かった先は。
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小林 |
「今日は凍える温度やが、
この先油断すると春になるで」 |
北小岩 |
「冬の大三角形を満喫するには、
今しかございません」 |
季節の風物詩を楽しみに行くのである。
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小林 |
「ここいらやと思うんやが」 |
7時間歩き通したため、
日はとっぷり暮れて。
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北小岩 |
「あそこをご覧ください!」 |
小林 |
「ほのかに光っとるやないけ」 |
「わ〜っ!きゃ〜っ!」
女性たちの歓声があがる。
師弟の視線は冬の夜空・・・のはずが。
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北小岩 |
「光っているのはもっと近くでございますね。
もしや」 |
小林 |
「そや。
輝いとるのは、男たちの金玉や」 |
北小岩 |
「なんと!
そのようなことがあり得るのでしょうか」 |
小林 |
「ホタルは酸素、ルシフェリン、
ルシフェラーゼによって光るらしい。
だが奴らは、
鍛冶屋のように金玉を打ったり、
磨いたりする恐るべき鍛錬で
光を放てるようになったんや」
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北小岩 |
「なるほど。丘の上の三角形は、
各々チン毛を燃やしているようです」 |
三人が流れ星のような動きをしたのは、
イチモツに火が燃え移ったからだろう。
その時丘から。
「うひょ〜」
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北小岩 |
「確かにあれも三角形ですが」 |
全裸の男らが手でお互いの足首をもち、
かくんかくんしながらくだってきた。
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小林 |
「厳しい冬はもうすぐ終わる。
特上の男らを鑑賞して締めくくるのも、
趣深いんちゃうか」
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趣などかけらもないであろう。
冬の大三角形。
それは夜空に煌くシリウス、ベテルギウス、
プロキオンだけで十分だ。
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